STマイクロエレクトロニクスは2024年4月、32ビットマイコンを中心とした同社の製品群「STM32」の戦略や各製品の特徴についての説明会を開催した。
STMicroelectronics(以下、ST)は2024年に入り、同社の32ビットマイコンを中心とした製品群「STM32」の新製品やラインアップ拡充を計5件発表した。加えて、次世代マイコンへの適用に向けて18nm FD-SOI(完全空乏型シリコンオンインシュレーター)技術に基づく先進プロセスを開発したことも発表。STの日本法人であるSTマイクロエレクトロニクスは2024年4月、こうした動きを含むSTM32の戦略や各製品の特徴についての説明会を開催した。
STは従来、STM32を32ビットマイコンの製品群として展開してきたが、2019年2月に初のマイクロプロセッサ(MPU)を発表していた。2024年3月にはSTM32のMPU第2世代として「STM32MP2シリーズ」をリリースしたほか、ハイエンドマイコン「STM32H7シリーズ」と低消費電力マイコン「STM32U5シリーズ」、ワイヤレスSoC(System on Chip)「STM32WBAシリーズ」のラインアップ拡充、超低消費電力マイコンの新製品である「STM32U0シリーズ」も発表した。
説明会に登壇したSTマイクロエレクトロニクス マイクロコントローラ&デジタル製品グループ マイクロコントローラ製品 マーケティング&アプリケーション部長のパオロ パルマ氏は、インテリジェントエッジの時代に向けて、STM32では全体として、エコシステムの構築によって効率的なエッジコンピューティングを提供することと、セキュリティの担保を重視していることを説明した。
STは2024年3月、18nm FD-SOI技術と組み込み相変化メモリ(ePCM)をベースにした次世代マイコン向けのプロセスを発表した。このプロセス技術はSTとSamsung Foundryの共同開発によるもので、パルマ氏は「プロセス技術を外注しているメーカーが多いが、STは自社で開発している。18nmのFD-SOI技術を保有しているのは現時点ではSTのみではないか」と語った。このプロセス技術は処理性能と電力効率の向上に貢献するもので、40nm CMOSプロセスと比較すると電力効率が50%以上向上し、不揮発性メモリの集積度は2.5倍、ロジック回路の集積度は3倍になるとしている。
同プロセスはハイエンドのマイコンへの採用を想定していて、2024年中に一部顧客へのサンプル出荷開始、2025年後半に量産開始を予定している。
日本市場におけるSTM32の戦略としては、産業機器を主なターゲットとし、エッジAIソリューションに注力するという。加えて、セキュリティ強化や高電力効率などのニーズに対応するとした。
日本市場の傾向について、パルマ氏は「ハイパフォーマンス製品の需要がかなり伸びている。用途としてはFA(ファクトリーオートメーション)を含む産業機器やグラフィックが多い」と説明した。
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