SEMIは、世界半導体製造産業について「2024年第1四半期(1〜3月)に改善の兆候が現れた」ことを、TechInsightsと共同で発行する最新レポートで発表した。2024年下半期には、業界が力強く成長すると予測した。
SEMIは2024年5月14日(米国時間)、世界半導体製造産業について「2024年第1四半期(1〜3月)に改善の兆候が現れた」ことを、TechInsightsと共同で発行する最新のSemiconductor Manufacturing Monitorレポートで発表した。2024年下半期には、業界が力強く成長すると予測した。
電子機器の売上高は、2024年第1四半期に前年同期比1%増となった。2024年第2四半期(4〜6月)には同5%増が予測されている。ICの売上高は、2024年第1四半期に同22%増と大きく伸びた。2024年第2四半期にはHPC用チップの出荷増やメモリ価格の改善継続により、同21%増が予測されている。ICの在庫水準も2024年第1四半期に安定化し、第2四半期には改善する見込みである。
前工程と呼ばれる半導体ウエハーを処理する工場では生産能力の増強が続く。これにより、2024年第1四半期は同1.2%増となり、第2四半期には1.4%増加して、四半期の生産能力が300mmウエハー換算で4000万枚を超えると予測する。特に中国の生産能力は、全地域の中で最も高い伸びを示す。一方で、ファブ稼働率は低迷しており、「2024年前半に回復する兆しはない」との見方を示した。2024年第1四半期のメモリファブ稼働率も予想を下回る。
ファブ稼働率などの状況を踏まえ、半導体の設備投資については引き続き慎重である。ファブ稼働率は2023年第4四半期に前年同期比17%減となり、2024年第1四半期も11%減少した。これに対し2024年第2四半期は0.7%増となる見込み。ただ、メモリ関連の設備投資は高水準で、8%の増加を予測した。
SEMIの市場情報担当シニアディレクターを務めるClark Tseng氏は、「需要が回復している半導体分野はいくつかある。しかし、回復のペースにはバラつきがある。AIチップと広帯域メモリは、現在も需要が高いデバイスであり、これらの分野が設備投資と生産能力の増加を支えている。ただ、AIチップは少数のサプライヤーに依存している。このため、IC出荷増への影響は依然として限定的」とコメントした。
TechInsightsの市場分析担当ディレクターを務めるBoris Metodiev氏は、「2024年上半期の半導体需要にはバラつきがある。本格的な回復は、AIのエッジへの拡大が消費者需要を押し上げる今年下半期になる可能性が高い。車載および産業市場は、在庫が減少する2024年後半から成長軌道に戻るだろう」とコメントした。
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