ロームは2024年5月8日に開催した決算説明会で、東芝の半導体事業との業務提携強化に向けた協議を2024年6月に開始すると公表した。ローム社長の松本功氏は、すでに提携を進めるパワー半導体の製造に加え、半導体事業における研究開発や設計、調達、物流、販売といった幅広い分野での業務提携を目指す提案の概要および、シナジー効果を語った。
ロームは2024年5月8日に開催した決算説明会において、東芝の半導体事業との業務提携強化に向けた協議を2024年6月に開始すると公表。ローム社長の松本功氏は、「東芝の半導体事業はロームとの親和性が高い。さまざまなシナジーが創出できる可能性がある」と述べ、すでに提携を進めるパワー半導体の製造に加え、半導体事業における研究開発や設計、調達、物流、販売といった幅広い分野での業務提携を目指す提案の概要および期待するシナジー効果などについて説明した。
ロームと東芝デバイス&ストレージ(以下、東芝D&S)は2023年12月、共同申請したパワー半導体の供給確保に関する計画が、経済産業省の「半導体の安定供給確保のための取組に関する計画(供給確保計画)」として認定されたと発表している。ロームがSiC(炭化ケイ素)パワー半導体、東芝D&Sがシリコンパワー半導体へ重点的に投資し、拡大した生産能力を相互に活用するというもので、事業総額は事業総額は3883億円。経産省が最大1294億円(事業総額の3分の1)を助成する予定だ。
ロームはさらに2024年3月、このパワー半導体の製造連携に加え、東芝のパワー半導体を中心とした半導体事業全般において技術開発、生産、販売、調達、物流など、あらゆる事業活動における業務提携の強化を目指した協議の開始について、日本産業パートナーズ(JIP)に提案したことも発表した。なお、ロームは、JIPをはじめとする企業連合による東芝の非上場化に際して、3000億円を拠出している。
松本氏は今回、3月に発表したこの提案の概要に加え、東芝の半導体事業との親和性、期待されるシナジー効果を説明した。
東芝の半導体事業との親和性では、両社の有する製品カテゴリーや売上高を示しつつ説明。パワーデバイスのほか、アナログやロジックおよびMCU、小信号ディスクリートなど、注力製品カテゴリーが近く、「非常に親和性が高く、大きなシナジーを生むことができるのではないかと期待している」と説明していた。
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