図4はVision Proのプロセッサ基板と各種コンポーネントとの接続関係である。外観と同じく各種センサー、ディスプレイ、空冷ファン、スピーカー、レンズ位置調整用モーターなどがメイン基板に四方八方から接続されている。外部データは電源ボックスを介しての入力とともにWi-Fiなどの通信を介して行うものとなっている。
図4は接続関係を表すために破線で表記しているが、実際には、基板と各コンポーネントは“対面”で配置されるので、配線長はほぼ無いと考えてよい。基板の裏面にはR1、M2の各プロセッサの背面に電源を安定化させるため、びっしりとセラミックコンデンサーが並んでいて、全ての端子は基板のプロセッサ裏面側からとなっている。基板の下半分がセンサーと接続され、基板上側はモーター系、左右中央がディスプレイ出力と、機能によって端子位置が集中する構造だ。
図5はApple Vision Proの基板のプロセッサ側の様子である。Appleロゴの入ったチップが5つ搭載されている。左側は各種センサー情報が集まり画像処理を行うR1、右側がM2プロセッサである。それぞれ、電力を最適化する電源ICで制御されている。全てAppleが独自に開発したものだった。iPhoneやMacBookなど多くのApple製品はApple独自の半導体で骨格が構成されているが、Vision Proも同様だ。
図6はVision Proのディスプレイ側の様子である。マイクロOLEDの詳細は省略するが、ピクセルのSEM観察、製造ファブの判定なども終わっている。ディスプレイ側にも眼球の動きを撮影するためのデュアルカメラ、センサー制御チップなど多くの部品が埋め込まれている。
図7はVision Proのチップ開封の様子である。R1は11個のシリコンの組み合わせによるチップレットで構成されている。内部の11個の素性は省略するが、センターには画像処理プロセッサが備わっている。内部のフロアプランを解析した結果、カスタムインタフェース(チップレット接続用)を備えていることが明らかになった。マイクロOLED用のドライバーICは、Appleデザインであることも明確になっている!!! Appleはプロセッサや電源ICだけでなくドライバーICにも自社開発の範囲を広げているわけだ。
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