村田製作所は「人とくるまのテクノロジー展 2024 YOKOHAMA」に出展し、新しいノイズ対策用部品や開発中のCO2吸着フィルターを展示した。
村田製作所は「人とくるまのテクノロジー展 2024 YOKOHAMA」(2024年5月22〜24日、パシフィコ横浜)に出展し、2024年5月に発表した新しいノイズ対策用部品や開発中のCO2吸着フィルターを展示した。
2024年5月に発表したLキャンセルトランス「LXLC21シリーズ」は、負の相互インダクタンスを利用してノイズ除去を行うノイズ対策部品だ。ノイズ対策用コンデンサーや電源線とグランドの間の配線に寄生するインダクタンス成分を相殺することで、数MHz帯から1GHzまで高調波領域の電源ノイズ対策を可能にしていて、部品点数を削減することができる。
民生機器向けのLXLC21シリーズは既にドライブレコーダーなどで採用実績があり、同製品を1個組み込むことでコンデンサーの数を16個から6個に削減できた事例があるという。
ブース担当者は「今後、Lキャンセルトランスを使うことがスタンダードになることを期待している。コンデンサーやインダクターと並ぶような部品にしたい」と話した。村田製作所は現在、車載向けに耐熱性を向上させて大電流に対応し、信頼性を高めた「LXLFシリーズ」を開発中だとしている。
開発中のCO2吸着フィルターは、多孔質材料である金属有機構造体(MOF)を用いたものだ。室温でCO2を吸着し、60℃程度の熱を加えると吸着したCO2を放出する。
電気自動車(EV)の普及が進み省エネルギー性がますます重視される中、村田製作所では「EVのエアコンは、外気導入よりも消費電力の小さい内気循環が中心になっていく」という仮説を立てているという。ただし、内気循環だけでは車内のCO2濃度が高くなり、息苦しさや運転手の眠気といった問題が起こる。CO2吸着フィルターを使うことで、内気循環が中心でもCO2濃度の上昇を抑えることができるという。
「CO2のみを選択的に車室外に排出することでエアコンの負荷を低減できれば、航続距離を伸ばすことが期待できる」(ブース担当者)
自動車以外では、CO2濃度が高い環境が適した農作物のビニールハウス栽培への利用なども想定する。村田製作所は今後、空調機器メーカーなどと連携しながら試作を進めていくという。
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