日本電気硝子が「JPCA Show 2024」で、開発中のガラスセラミックスコア基板を展示した。次世代半導体パッケージコア基板としての用途を想定している。従来の樹脂コア基板と同じように、CO2レーザーで微細貫通穴(ビア)を加工できることが最大の特徴だ。
日本電気硝子は「JPCA Show 2024」(2024年6月12〜14日、東京ビッグサイト)で、次世代半導体パッケージ用に開発中のガラスセラミックスコア基板「GCコア」を展示した。ガラス粉末とセラミックス粉末の複合材(ガラスセラミックス材)を用いたもので、CO2レーザーでスルーホールを開けられることが最大の特徴になる。現在の基板のサイズは300×300mmだが、2024年内には、標準的な515×500mmのサイズに大型化できる見込みだ。
次世代半導体パッケージ基板として開発が進むガラス基板だが、電気的特性や平たん性に優れるという特長はあるものの、微細貫通穴(ビア)の加工が最も大きな課題になっている。樹脂基板はCO2レーザーを使って加工するのが一般的だが、ガラス基板にCO2レーザーを使うと、熱応力によりクラック(割れ目)が発生してしまう。そのため、ガラス基板ではUVパルスレーザーを照射後、エッチングによりスルーホールを形成する方法が一般的だ。ただし、これは技術的に難しく、加工に時間がかかる。UVレーザー加工機や酸処理槽といった設備投資も必要になる。
GCコアは、これらの課題を解消する。クラックが入りにくいというセラミックスの特性を維持しつつ、CO2レーザーによる穴開け加工ができる。「既存のインフラを使えるので、短時間かつ安価に加工できるようになる」(日本電気硝子)。GCコアにおけるスルーホールのピッチについては「150μmまで可能ではないか」という。
GCコアに用いたガラスセラミックス材は、日本電気硝子が20年以上手掛けてきたLTCC(低温同時焼成セラミックス)材料を使用したものだ。5G(第5世代移動通信)向けにも開発してきたLTCC材料なので、誘電率や誘電正接が低く、信号伝達遅延や誘電損失を低減できる。「LTCC材料に穴開け加工をしてみたところ、きれいにスルーホールを開けられることが分かった。そこで、半導体パッケージのガラスコア基板に応用できないかと考えた」(同社)
GCコアはガラス基板に比べると強度が高いので、基板を薄くでき、半導体の薄型化もしやすい。ガラスとセラミックスの組成や配合比を変えることで、ニーズに合わせた特性も実現できるという。
AI(人工知能)やHPC(高性能コンピューティング)などのアプリケーションに向けて半導体の性能を向上させるため、配線の微細化やチップレット化、パッケージ基板の大型化などが求められている。だが、従来のパッケージ基板に使われている樹脂製のコア基板は、さらなる微細化が難しく、大型化するとたわむなど剛性上の課題に直面している。「半導体の進化を支える上で新しいパッケージ基板は必須だ。当社のGCコアにより、パッケージ基板の選択肢を増やしたい」(日本電気硝子)
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