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CO2レーザーで高速ビア加工 ガラス複合材基板2024年内に515×500mmも開発へ

日本電気硝子が「JPCA Show 2024」で、開発中のガラスセラミックスコア基板を展示した。次世代半導体パッケージコア基板としての用途を想定している。従来の樹脂コア基板と同じように、CO2レーザーで微細貫通穴(ビア)を加工できることが最大の特徴だ。

» 2024年06月24日 14時30分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]

 日本電気硝子は「JPCA Show 2024」(2024年6月12〜14日、東京ビッグサイト)で、次世代半導体パッケージ用に開発中のガラスセラミックスコア基板「GCコア」を展示した。ガラス粉末とセラミックス粉末の複合材(ガラスセラミックス材)を用いたもので、CO2レーザーでスルーホールを開けられることが最大の特徴になる。現在の基板のサイズは300×300mmだが、2024年内には、標準的な515×500mmのサイズに大型化できる見込みだ。

「JPCA Show 2024」で展示した「GCコア基板」のサンプル加工したスルーホールの電子顕微鏡写真 左=「JPCA Show 2024」で展示した「GCコア基板」のサンプル/右=加工したスルーホールを電子顕微鏡で見せていた。今回展示したサンプル基板には、φ75μmの穴が23万個開いている。ピッチは250μmまたは300μm。ちなみに、23万個の穴開け加工に要した時間は12分だという[クリックで拡大]

 次世代半導体パッケージ基板として開発が進むガラス基板だが、電気的特性や平たん性に優れるという特長はあるものの、微細貫通穴(ビア)の加工が最も大きな課題になっている。樹脂基板はCO2レーザーを使って加工するのが一般的だが、ガラス基板にCO2レーザーを使うと、熱応力によりクラック(割れ目)が発生してしまう。そのため、ガラス基板ではUVパルスレーザーを照射後、エッチングによりスルーホールを形成する方法が一般的だ。ただし、これは技術的に難しく、加工に時間がかかる。UVレーザー加工機や酸処理槽といった設備投資も必要になる。

 GCコアは、これらの課題を解消する。クラックが入りにくいというセラミックスの特性を維持しつつ、CO2レーザーによる穴開け加工ができる。「既存のインフラを使えるので、短時間かつ安価に加工できるようになる」(日本電気硝子)。GCコアにおけるスルーホールのピッチについては「150μmまで可能ではないか」という。

GCコアの採用イメージ GCコアの採用イメージ[クリックで拡大] 出所:日本電気硝子
GCコアのビア(左)および断面画像 GCコアのビア(左)および断面画像。φ75μmでピッチは250μm、基板の厚みは0.4mm。ビアメカニクスのレーザー加工機で加工したもの[クリックで拡大] 出所:日本電気硝子

 GCコアに用いたガラスセラミックス材は、日本電気硝子が20年以上手掛けてきたLTCC(低温同時焼成セラミックス)材料を使用したものだ。5G(第5世代移動通信)向けにも開発してきたLTCC材料なので、誘電率や誘電正接が低く、信号伝達遅延や誘電損失を低減できる。「LTCC材料に穴開け加工をしてみたところ、きれいにスルーホールを開けられることが分かった。そこで、半導体パッケージのガラスコア基板に応用できないかと考えた」(同社)

 GCコアはガラス基板に比べると強度が高いので、基板を薄くでき、半導体の薄型化もしやすい。ガラスとセラミックスの組成や配合比を変えることで、ニーズに合わせた特性も実現できるという。

「新しいパッケージ基板が必須」

 AI(人工知能)やHPC(高性能コンピューティング)などのアプリケーションに向けて半導体の性能を向上させるため、配線の微細化やチップレット化、パッケージ基板の大型化などが求められている。だが、従来のパッケージ基板に使われている樹脂製のコア基板は、さらなる微細化が難しく、大型化するとたわむなど剛性上の課題に直面している。「半導体の進化を支える上で新しいパッケージ基板は必須だ。当社のGCコアにより、パッケージ基板の選択肢を増やしたい」(日本電気硝子)

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