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「第4のEDA大手」となるか 買収を繰り返すAltair得意のHPCでニッチ市場を狙う(1/2 ページ)

EDA業界は現在、Cadence、Siemens EDA、Synopsysの3社が支配的な立場にある。この3社は小規模なEDA企業を買収することで業界の巨人へと成長してきた。現在、あるEDA企業が、この3社の競争に割って入るべく同様の連続買収の道を歩んでいる。【訂正あり】

» 2024年07月17日 13時30分 公開
[Majeed AhmadEE Times/EDN]

 EDA業界は現在、Cadence、Siemens EDA、Synopsysの3社が支配的な立場にある。この3社は小規模なEDA企業を買収することで業界の巨人へと成長してきた。現在、あるEDA企業が、この3社の競争に割って入るべく同様の連続買収の道を歩んでいる。

 シミュレーションおよびデータ解析ソリューションのサプライヤーである米Altairは、複数の設計自動化分野で事業を拡大するための取引を進めている。同社は2024年7月、半導体シミュレーションと設計検証のためのSimulation-as-a-Service(SaaS)ビジネスを手掛けるカナダ企業であるMetrics Design Automation(以下、Metrics)を買収すると発表した。Metricsは、Cadence Design Systemsを10億米ドル規模の企業に成長させたEDA業界のベテラン、Joe Costello氏が率いる企業だ。

Altairが提供するソリューションのイメージ Altairが提供するソリューションのイメージ[クリックで拡大] 出所:Altair

【訂正:2024年7月18日13時30分 初出時、Altairの本社所在地の記載に誤りがありました。正しい本社所在地は米国になります。お詫びして訂正いたします。】

クラウド対応を進めるAltair

 現在の半導体業界では、ICの設計検証に高いライセンスコストがかかり、1チップのシミュレーションのために数百、場合によっては数千のシートが必要になることもある。クラウドベースのビジネスモデルは、高性能のEDAツールがはるかに手頃な価格で利用可能になる可能性を秘めている。現状では高性能のEDAツールはオンプレミス環境で動作し、通常はクラウドネイティブまたはクラウド対応ではない。

 Altairは、自社の半導体デバッグツールとMetricsのデジタルシミュレーター「DSim」を組み合わせて、シミュレーションとデバッグの機能をデスクトップアプリ、社内サーバ、クラウドで提供する計画だという。設計者は利用した分だけ料金を支払うことができる。DSimは、Altairのクラウドゲートウェイである「Altair One」から利用でき、デスクトップにダウンロードすることも可能だという。この統合ソリューションは、ASICおよびFPGAのデジタル回路向けのハードウェア記述言語であるVerilogおよびVHDL RTLをサポートしている。

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