Altairは2024年初め、同社の設計/シミュレーションプラットフォーム「HyperWorks」をフランス国内で販売するチャネルパートナーとしてEDA Expertを指名した。2012年に設立され、フランスのアルクイユに本社を置くEDA Expertは、メーカーが電子システムの設計と製造、電子基板の解析に適したソリューションを定義できるよう、技術的な専門知識とトレーニングを提供している。
また、Altairは2022年6月に、自動回路図生成ツールや電子設計デバッグソリューションのサプライヤーであるConcept Engineeringの買収を発表している。Concept Engineeringのソフトウェアは、Altairの「Electronic System Design」に統合され、Altair独自のソフトウェアサブスクリプションサービス「Altair Units」を通じて提供される。
Concept Engineeringのリアクティブビジュアライゼーション技術は、特定の設計アーキテクチャ要件と厳格なサービスニーズを有する設計に貢献するという。また、同社の設計デバッグソリューションは、アナログとデジタルの両方の分野で、レジスタ転送レベル(RTL)、ゲート、トランジスタ設計の抽象化に対応する。
さらに、Altairは2017年9月に、米国カリフォルニア州サンタクララを拠点に高性能コンピューティング(HPC)向けソリューションを手掛けるRuntime Design Automationの買収を発表している。同社は主に、EDAツールを活用してCPU、GPU、SoC(System on Chip)を設計する設計者にサービスを提供していた。
Altairはコンピュテーショナルインテリジェンスのスペシャリストを自称しているが、同社の技術ロードマップはEDAツール製品との融合や競合が進んでいる。同社はAI(人工知能)やクラウドコンピューティング技術によって変革が進んでいるEDA業界での地位を確立するために、EDAソリューションを着実に蓄積して技術的な強みを増やしている。
さらに、Altairが得意とするHPCは、半導体の分野でも中心的な役割を果たしつつある。そのため同社は、半導体市場でEDAのニッチを切り開くことを目指しているのかもしれない。
それでもAltairはまだ、EDAの大手3社の足元にも及ばない。Altairはこのまま買収を続け、最終的には業界の覇権に挑戦するのだろうか。それとも、大手3社の買収のターゲットとなるのだろうか。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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