NTTは、東京大学や物質・材料研究機構(NIMS)と共同で、パルス幅が1.2ピコ秒と極めて短いグラフェンプラズモン波束を電気的に発生させ、伝搬制御することに成功した。これを利用して、テラヘルツ(THz)電気信号の位相や振幅が変調できることを実証した。
NTTは2024年7月、東京大学や物質・材料研究機構(NIMS)と共同で、パルス幅が1.2ピコ秒というグラフェンプラズモン波束を電気的に発生させ、伝搬制御することに成功したと発表した。これを利用して、テラヘルツ(THz)電気信号の位相や振幅が変調できることを実証した。
THz領域は、高速な無線通信やセンシング、イメージングといった分野で応用開発が進んでいる。こうした中、THz電気信号の制御技術は極めて難しく、集積回路で取り扱うことができる信号帯域は、GHz帯にとどまっていた。
研究グループは今回、THz電気信号の制御技術として「グラフェンプラズモン」に着目した。実験に向けて、NIMSが成長させた最高品質の六方晶窒化ホウ素(hBN)を用いて作製したデバイスを利用した。このデバイスはNTTが東京大学の協力を得て作製した。実験では、レーザーパルスを用いて発生させたTHz領域の超短電気パルスを、グラフェンデバイスに入射し、グラフェンプラズモン波束の伝搬特性およびその制御性、プラズモン発生効率などを評価した。
実験では3つのことを行った。1つ目は1.2ピコ秒の超短グラフェンプラズモン波束をチップ上で発生させ、伝搬制御や計測を行った。フェムト秒光パルスと光伝導スイッチを組み合わせたオンチップTHz分光法を応用し、最大2THzの帯域で電気信号の発生と検出を可能にした。
2つ目はグラフェンの電荷密度をゲートにより電気的に変調し、プラズモン波束の位相と振幅を制御した。3つ目は、ゲート電極の材料を最適化することで、電気パルスからグラフェンプラズモン波束への変換効率として最大35%が得られた。変換効率だけでなく閉じ込め効果や伝搬速度、パルス幅もゲート電極によって大きく変化することを確認した。
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