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ニデックの24年度Q1決算は過去最高、精密小型モータが好調2030年までの中期戦略目標も発表(2/3 ページ)

» 2024年07月24日 11時30分 公開
[半田翔希EE Times Japan]

「精密小型モータ」が大幅成長、ニアライン用途が好調で

 2024年度第1四半期業績を製品分野別で見ると、「精密小型モータ」は、売上高が前年同期比25.2%増の1185億円、営業利益が同121.3%増の131億円だった。HDD用モーターでは、ニアライン用途を中心とした高付加価値製品の需要が増加した。また、その他小型モーターでは、AI(人工知能)サーバ向け水冷システムの急激な需要拡大に伴う水冷モジュール事業の垂直立ち上げによる量産化が成長を後押しした。

 ニデックの社長兼CEO(最高経営責任者)の岸田光哉氏は、精密小型モーター分野における今後の戦略について「AIサーバ向けの需要は、爆発的に伸び続けるだろう」と予想した上で、「水冷モジュールだけでなく、HDD用のスピンドルモーターや空調向けモーター、半導体チップセットの検査装置や搬送ロボットなど、多種多様な製品の提供を通じて、AIサーバ向け需要の拡大に貢献していく」と語った。

AIデータセンターを取り巻く製品 AIデータセンターを取り巻く製品[クリックで拡大] 出所:ニデック

 「車載」の売上高は、ADAS(先進運転支援システム)や自動運転など、自動車の電動化の流れに伴い増加している電動ブレーキブースター用モーターの需要を取り込んだことで、前年同期比20.4%増の1656億円。営業利益は、EVトラクションモーター事業において、2023年度中に戦略転換を行い、不採算機種の受注制限や原価低減、固定費の大幅削減を断行したことの他、NPeの連結子会社化に伴う影響もあり、同26.9%増の140億円となった。

 岸田氏は、EVトラクションモーター事業について「2023年度の方向転換の効果が着実に現れてきた」と述べ、今後の再成長に向けた施策として「ニデック本体は広州汽車との取引を行い、中国で展開していたトラクション事業はNPeが担当する。また、NPeの赤字幅を確実に削減し、2024年度第3四半期以降の黒字化を目指す」と語った。

車載事業の戦略転換 車載事業の戦略転換[クリックで拡大] 出所:ニデック

 「家電・商業・産業用」の売上高は、AIデータセンターの建設ラッシュに伴う発電機需要の急増の影響を受け、前年同期比11.2%増の2656億円となった。一方で、営業利益は、収益改善に向けた欧州を中心とする分散拠点の合理化推進に伴う一時的なコスト増により、同14.1%減の266億円となった。「機器装置」の売上高は、NPeの連結子会社化による影響や液晶ガラス基板搬送用ロボットの増収により、同7.6%増の755億円。営業利益は、高収益の半導体検査装置の売り上げ減少や工作機械関連各社の生産体制集約などの影響を受け、同27.8%減の81億円となった。

製品グループ別の四半期業績推移(2022年度第1四半期〜2024年度第1四半期) 製品グループ別の四半期業績推移(2022年度第1四半期〜2024年度第1四半期)[クリックで拡大] 出所:ニデック

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