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HDD大手Seagateの四半期業績、前年同期比が9四半期ぶりの増収増益に福田昭のストレージ通信(264)(2/2 ページ)

» 2024年07月30日 10時30分 公開
[福田昭EE Times Japan]
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熱アシスト記録の大容量HDD「Mozaic 3+」の少量出荷を開始

 Seagateは製品別の収支を、「HDD製品」と「その他(SSDやシステム・ソリューションなど)製品」に大別している。売り上げのほとんどを占めるのは「HDD製品」である。「HDD製品」は「大容量品(マスキャパシティ品)」と「既存品(レガシー品)」の2つに分けて説明している。

 「大容量品(マスキャパシティ品)」には、ニアラインHDD、画像データ(VIA:video and image applications)用HDD、NAS(Network Attached Storage)などが含まれる。「既存品(レガシー品)」には、ミッションクリチカルHDD、デスクトップPC用HDD、ノートPC用HDD、デジタルビデオ録画用HDD、ゲームコンソール用HDDなどの製品がある。

 これらの製品分類別市況で比較的好調だったのは前期と同様に「大容量品(マスキャパシティ品)」のニアラインHDDである。出荷容量ベースでは全体の90%以上をマスキャパシティ品が占めた。VIA用HDDの売上高は予想を超えて伸びた。

 製品開発では、24TBのCMR品と28TBのSMR品の量産出荷を2025会計年度第1四半期(2024年7月〜9月期)に始める。クラウド、エンタープライズ、VIAで複数社の認証が完了している。熱アシスト磁気記録(HAMR)技術を採用したシリーズ製品「Mozaic」では、プラッタ1枚当たり3TB以上の大容量を確保した「Mozaic 3+」の少量出荷を2024会計年度第4四半期に始めた。2025暦年の半ばに向けて出荷数量が急激に立ち上がると推定する。

2024会計年度第4四半期(2024年4月〜6月期)における市況(左)と製品開発(右)の状況 出所:Seagate Technology[クリックで拡大]

ニアラインHDDの総出荷記憶容量が前年同期比54%増と急伸

 製品分類別の売上高では、「HDD製品」が前期比17%増、前年同期比25%増の17億2700万米ドルと伸びた。内訳では「大容量品(マスキャパシティ品)」が前期比22%増、前年同期比46%増の14億3700万米ドルとHDD全体を牽引した。HDD製品の売上高に占めるマスキャパシティ品の割合は83%となり、前期から3ポイント上昇した。

 「既存品(レガシー品)」の売上高は前期比2%減、前年同期比28%減と減少傾向が続く。金額は2億9000万米ドルである。「その他(SSDやシステム・ソリューションなど)製品」の売上高は前期比10%減、前年同期比27%減の1億6000万米ドルである。

製品別の売上高と総出荷記憶容量、平均記憶容量(ドライブ1台当たりの記憶容量)の推移(2023会計年度第4四半期(Q3FY23)〜2024会計年度第4四半期(Q4FY24)) 出所:Seagate Technology[クリックで拡大]

 総出荷記憶容量は、HDD製品全体が前期比15%増、前年同期比25%増の114.2 EB(エクサバイト:1018バイト)である。総出荷記憶容量のほとんどを占める「大容量品(マスキャパシティ品)」は前期比17%増、前年同期比38%増の103.9EBである。マスキャパシティ品の大半を占めるニアラインHDDは前期比18%増、前年同期比54%増の84.3EBとなった。既存品(レガシー品)は前期比3%減、前年同期比36%減の10.3EBとさらに減少した。

 ドライブ1台当たりの平均記憶容量は、HDD全体が前期比6%増、前年同期比45%増の9.3TB(テラバイト:1012バイト)である。大容量品(マスキャパシティ品)は前の四半期から1%増加して12.6TBとなった。4四半期連続で前の四半期を上回った。既存品(レガシー品)の平均記憶容量は前期比1%増、前年同期比2%増の2.5TBである。

⇒(次回に続く)

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