ルネサスのAltium買収が完了、「電子機器設計の未来を変える」と柴田氏：買収総額8800億円

ルネサス エレクトロニクスは2024年8月1日、PCB設計ソフトウェアなどを手掛ける米Altiumの買収が完了したと発表した。AltiumのCEOであるAram Mirkazemi氏は、ルネサスの執行役員兼ソフトウェア＆デジタライゼーションヘッドに就任した。

[永山準，EE Times Japan]

　ルネサス エレクトロニクス（以下、ルネサス）は2024年8月1日、PCB（プリント基板）設計ソフトウェアなどを手掛ける米Altiumの買収を完了したと発表した。

　Altiumはルネサスの完全子会社となり、AltiumのCEO（最高経営責任者）であるAram Mirkazemi氏は、ルネサスの執行役員兼ソフトウェア＆デジタライゼーションヘッドに就任した。なお、同氏は引き続きAltiumのCEOも兼任する。

イメージ 出所：ルネサス エレクトロニクス

　ルネサスのCEOを務める柴田英利氏は、「買収完了は、ルネサスとAltium双方にとって重要なマイルストーンだ。共に構築を目指す統合されたオープンな“電子機器設計・ライフサイクルマネジメントプラットフォーム”は、あらゆる規模や業種のユーザーが、電子機器を設計できるようにするものだ。Altiumの設計ソフトウェアとクラウドプラットフォームの機能を獲得し、 Aramと業界をリードする優秀なソフトウェアエンジニアリングチームとともに、電子機器設計の未来を変えていく」と述べている。

　Mirkazemi氏は、「ルネサスのサポートと専門知識を活用して、電子機器の設計と開発に関連する全てのプロセスのクラウド化を加速させることを楽しみにしている。これによって、エレクトロニクスはより広範な市場で利用できるようになり、ソフトウェアで定義された製品の発展に向けた土台が築かれることになる」とコメントしている。

　Altiumは1985年にオーストラリアで設立され、現在は米国カリフォルニア州を本拠地を構えるソフトウェア企業で、PCB設計プラットフォーム「Altium 365」などを提供している。ルネサスは2024年2月に、Altiumの買収を発表。2024年7月25日に開催した決算説明会において、買収完了に必要な規制当局の最終承認は2024年7月1日付で取得済みで、早ければ2024年8月1日に買収を完了するとの見通しを明かしていた。

　買収総額は約91億豪ドル（約8879億円）^※）となった。なお、買収に伴いAltiumの普通株式は2024年7月19日のオーストラリア証券取引所の取引終了時をもって、同取引所での取引が停止された。さらに、Altiumは、2024年8月2日のオーストラリア証券取引所の取引終了時をもって、同取引所の上場リストから削除される。

※）買収の発表日前日（2024年2月14日）時点の為替レート：1豪ドル97円で計算