ルネサス エレクトロニクスが、低消費電力のArmコア搭載マイコンの拡充に力を入れている。2024年4月には「RA0シリーズ」を発表し、第1弾となる「RA0E1」の量産を開始した。
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)が超低消費電力を特徴とするローエンドマイコンの拡充に力を入れている。その一例が、2024年4月に発表したArmコア搭載マイコン「RA0シリーズ」だ。第1弾として「RA0E1」を投入した。
ルネサスは、Armコア搭載のマイコン製品群として「RAファミリー」を展開してきた。これまではその中で最もローエンドの製品として最高動作周波数64MHzの「RA2シリーズ」を用意していたが、さらにローエンドの製品へのニーズが大きいので、RA0シリーズを開発したという。
RA0E1は、動作周波数32MHzのArm Cortex-M23コアを搭載。内蔵フラッシュメモリは最大64キロバイト、SRAMは12キロバイトで、パッケージのピン数は16〜32。内蔵機能を絞って最適化することでコストを抑えているという。
最大の特徴は「32ビットマイコンでは業界最高クラス」(ルネサス)だという低消費電力だ。具体的な消費電力はアクティブモードで84.3μA/MHz、スリープモードで0.82mA、ソフトウェアスタンバイモードでは0.2μA。高速オンチップ発振器(HOCO)を用いたことで、ソフトウェアスタンバイモードからアクティブモードへの復帰は1.6マイクロ秒と高速化を実現した。
開発の容易化にあたっては、Armエコシステムパートナーと連携しているほか、ルネサス独自の開発ツールも用意している。RA2シリーズとのピン互換性が高いため、より豊富な機能が必要になった際も移行しやすいという。
一般的なローエンドマイコンでは動作電圧が最大3.3V程度の製品も多いが、RA0E1の動作電圧は1.6〜5.5Vと広い。内蔵HOCOは±1.0%の高精度を出荷時のみでなくリフロー後も保証する。「機能は必要最低限にしながらも、使いやすさを損ねない」(ルネサス)という考えだ。
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