実験により、酸化膜が厚いと光子がシリコン表面近傍のダメージを形成する主な要因となることが明らかになった。一方、残膜が数nm程度と薄い場合、CF3+イオンはシリコン表面近傍に達してダメージを形成する。CF3活性種は酸化膜への侵入が制限されるため、酸化膜加工の終端付近だけでシリコン表面にダメージが形成されるという。
研究チームはダメージの修復に向け、水素(H2)ガス雰囲気中で加工後のウエハーに熱処理を施し、キャリア寿命の変化を測定した。そして、熱処理後はキャリア寿命が長くなり、ダメージが修復されていることを確認した。残膜が厚い場合、ダメージの修復は熱処理温度が300℃でほぼ完全に修復された。逆に、温度が400℃になるとキャリア寿命は短くなった。残膜が薄い場合、温度上昇でキャリア寿命は回復するが、400℃まで上げてもダメージは残った。
これらのデータから、ダメージを修復するには、熱処理の温度を適切に管理するとともに、シリコン上の膜厚が約10nm以下と薄い場合、イオンや活性種に由来する不純物の低減が重要であることを明らかにした。
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