高配向のCNTを用い、高効率の熱電変換を実現:幅広い用途で排熱を有効に再利用
東京都立大学と東海理化は、カーボンナノチューブ(CNT)に化学的処理を施し、高効率の熱電変換を実現した。柔軟性や伸縮性、導電性に優れたCNTを用いた熱電変換技術は、排熱利用だけでなく、防災など幅広い用途での活用が期待される。
東京都立大学大学院理学研究科物理学専攻の柳和宏教授らによる研究グループと東海理化は2024年8月、カーボンナノチューブ(CNT)に化学的処理を施し、高効率の熱電変換を実現したと発表した。柔軟性や伸縮性、導電性に優れたCNTを用いた熱電変換技術は、排熱利用だけでなく、防災など幅広い用途での活用が期待される。
柳教授らの研究グループは、CNTにおける熱電変換の起源について研究を続けており、これまでに高配向のCNTヤーン(糸)が、極めて高い熱電出力因子を示すことを明らかにしてきた。
高効率の熱電変換を実現するには、温度差から正電圧を発生する「P型ナノチューブ」と、負電圧を発生する「N型ナノチューブ」を用意する必要があるという。ところがこれまではN型ナノチューブヤーンを作製するのが難しかったという。
そこで今回、化学的処理を施しN型のナノチューブヤーンを東海理化と共同で開発した。これによって、P型とN型のナノチューブヤーンを、ファイバー上のあらゆる位置に作製することが可能となり、実用レベルのナノチューブヤーン熱電変換素子開発にめどをつけた。
共同開発の成果と社会利用イメージ[クリックで拡大] 出所:東京都立大学
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東北大学や東京都立大学、東京大学らによる研究グループは、準安定で高純度の酸化ガドリニウム(GdO)薄膜の合成に成功。このGdOが強磁性体で、キュリー温度は最高303K(30℃)であることを確認した。
- 都立大ら、不揮発性磁気熱スイッチング材料を発見
東京都立大学らの研究チームは、スズ−鉛(Sn-Pb)はんだを磁場中で冷却したところ、「磁石」と「超伝導」という2つの性質を持つことが分かったと発表した。さらに、はんだの超伝導転移温度である7.2K以下で、「不揮発性磁気熱スイッチング」の現象を確認した。
- 熱サイクルに強い超伝導素子の開発につながる成果を発表 東京都立大学など
東京都立大学らの研究チームは、遷移金属ジルコナイド超伝導体「CoZr2」に圧力をかけると、体積熱膨張率が「負」になることを見いだした。「正」の熱膨張材料と組み合わせれば、「ゼロ熱膨張」の超伝導材料を開発することが可能となる。
- さまざまな組成のTMD単層ナノチューブを合成
東京都立大学らの研究チームは、窒化ホウ素(BN)ナノチューブの外壁や内壁をテンプレート(基板)に用い、さまざまな組成の「TMD(遷移金属ダイカルコゲナイド)単層ナノチューブ」を合成することに成功し、その構造的な特徴も解明した。効率が高い太陽電池などに向けた材料設計の指針になるとみられる。
- 同一面内で接合した構造のTMDC多層結晶を作製
トンネルFETに適した材料として注目されている「遷移金属ダイカルコゲナイド(TMDC)」。東京都立大学などの研究チームはTMDCの結晶について、同一面内で接合した構造を作製することに成功した。接合界面ではトンネル電流も観測した。
- MoS2トランジスタのコンタクト抵抗を大幅低減
産業技術総合研究所(産総研)は東京都立大学と共同で、二硫化モリブデン上に層状物質である三テルル化二アンチモンを成膜し、トランジスタのコンタクト抵抗を大きく低減させることに成功した。
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