日本特殊陶業と日本大学理工学部の研究グループは、小型で強力な空中超音波を出力できる「BLT(ランジュバン型振動子)型超音波エミッター」を共同で開発した。
日本特殊陶業と日本大学理工学部の三浦光特任教授らによる研究グループは2024年8月、小型で強力な空中超音波を出力できる「BLT(ランジュバン型振動子)型超音波エミッター」を共同開発したと発表した。
空中超音波を出力する超音波エミッターは、距離測定や位置検出が可能な超音波センサーとして、自動車用ソナーやロボットセンサーなどに用いられている。これを高音圧にすれば、凝集や分散、剥離、浮揚、励振といった作用が得られ、その用途は拡大するといわれている。
超音波を高音圧化するには、直径が約10mmの超音波エミッターを複数個用い、アレイ構造とするのが一般的である。ただ、この構造だと装置が大きくなったり、制御回路が複雑になったりしていた。日本特殊陶業はこれまで、高出力を発生する超音波振動源としてBLTを製造してきた。そして今回、超音波振動を空中に伝える振動板とBLTを組み合わせ、一体構造にすることで小型化と信頼性の向上に取り組んだ。
開発したBLT型超音波エミッターの本体は、直径が約15mm(フランジ部は直径25mm)で、全長は59.2mmである。出力周波数は40kHzで、音圧出力は先端から300mm離れた位置で1.7kPa(約159dB)、先端から100mm離れた位置では6.6kPa(約170dB)となった。消費電力は5Wで、高音圧化と低消費電力化を両立させた。
日本特殊陶業と日本大学理工学部は今後、異なる周波数出力に対応したエミッターや、環境配慮型の無鉛圧電素子を用いたエミッターの開発などに取り組む予定である。
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