カナダのケベック州ブロモンに拠点を置くMiQro Innovation Collaborative Centre(C2MI)と、米国ニューヨーク州アルバニーの半導体研究開発促進組織であるNY CREATES(New York Center for Research, Economic Advancement, Technology Engineering and Science)が、パートナー提携を発表した。カナダとニューヨーク州の半導体業界とのつながりを強化する狙いだ。
カナダと米国ニューヨーク州が、半導体産業でパートナーシップを強化している。2024年4月には、カナダのケベック州ブロモンに拠点を置くMiQro Innovation Collaborative Centre(C2MI)と、ニューヨーク州アルバニーの半導体研究開発促進組織であるNY CREATES(New York Center for Research, Economic Advancement, Technology Engineering and Science)が、パートナー提携を発表した。
C2MIとNY CREATESは、カナダ ケベック州のイースタンタウンシップスとニューヨーク州北部との間を結ぶ重要な“半導体回廊”の一角を担う組織だ。今回のパートナーシップ締結で、研究機会を強化して経済/労働力開発の可能性を拡大し、協業体制を構築していくという。
NY CREATESの代表者からはコメントを得られなかったが、同組織のプレジデントであるDave Anderson氏は声明の中で、「今回のパートナー提携によって米国とカナダ両国の業界パートナーたちの進化するニーズに対応することを目指し、半導体に焦点を当てた国際的な関係性を強化していく考えだ」と述べている。
このパートナーシップでは、米国最先端の300mm半導体関連の官民共同研究センターであるNY CREATESのAlbany NanoTech Complexの人材とリソースをC2MIと共に活用し、イノベーションを中心とした研究開発の機会を促進して、さらなる人材開発のパイプラインを構築し、地域内外の経済開発を推進していくという。
C2MIのプレジデント兼CEO(最高経営責任者)であるMarie-Josee Turgeon氏は、米国EE Timesのインタビューの中で、「今回のパートナーシップによって研究機会へのアクセスが加速し、十分な教育を受けた強力な人材の開発へとつながるだろう。このパートナーシップはブロモンと、ブロモンに後工程工場を保有するIBMとのつながりによって構築されたものだ」と述べる。
またTurgeon氏は、「C2MIがNY CREATESとの関係性を強化するきっかけになったのは、『CHIPS法(CHIPS and Science Act)』で促進されている、半導体製造の北米回帰の取り組みだ。C2MIとNY CREATESは互いを補完できる技術を保有している。人材開発/トレーニングの機会を模索しながら、双方の長所を生かして互いに何を学ぶことができるのかを考えていきたい」と述べる。
米国とカナダは2023年に、両国が重要な鉱物や半導体に関して他国への依存度を下げられるよう、二国間の半導体製造回廊を確立するという誓約を発表していて、今回のパートナー提携はこの誓約に沿うものだ。
ニューヨーク地域との関係強化に取り組んでいるカナダの半導体関連機関は、C2MIだけではない。Canada’s Semiconductor Council(CSC)のマネージングディレクターを務めるPaul Slaby氏は、「アルバニーのエコシステムは、北東回廊線を構築してカナダの半導体業界拡大を支援する上で、非常に重要だ」と述べている。
「CSCは、米国半導体工業会(SIA)とも会合を重ねているが、ブリティッシュコロンビア州やアルバータ州を含むカナダ西部にも回廊を構築したいと考えている」(Slaby氏)
Slaby氏は「北東部はすでに高度に発展していて、北西部に半導体回廊を構築するのも理にかなっている」と述べ、「北西部はすでにワシントン州、オレゴン州、さらにはカリフォルニア州のシリコンバレーともつながりが深い」と付け加えた。
同氏はカナダ西部の産業について「ほぼ大陸を隔てているため、やや孤立している印象だ」としながら、「別々のグループではなく『チームカナダ』を作り上げ、同じプラットフォームに集約することが重要だ」と述べた。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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