米国商務省は、先端パッケージングの国内生産能力の確立を加速するため、最大16億米ドルを投じると発表した。研究開発/試作プロジェクトを公募し、対象プロジェクトには1件当たり約1億5000米万ドルを拠出する。
2024年7月9日(米国時間)、米国商務省(DoC)は、国家先端パッケージング製造プログラム(NAPMP:National Advanced Packaging Manufacturing Program)の一環として、先端パッケージングの国内生産能力の確立を加速するため、研究開発/試作プロジェクトの公募を開始すると発表した。CHIPS法(CHIPS and Science Act)の下、同プログラムには5つの研究開発分野にわたるイノベーションに最大16億米ドルの資金が提供される。研究分野ごとに、助成対象となるプロジェクトを複数選定予定で、1件当たり約1億5000米万ドルが拠出される。
米国EE Timesが取材した業界関係者らは、16億米ドルの補助金は、需要が急増している先端パッケージングにおける米国の存在感を確立するのに役立つと話している。世界最大のパッケージ/テスト企業である台湾のAdvanced Semiconductor Engineering(ASE)をはじめとする企業は、AMDやApple、NVIDIAなどのシリコンバレーの顧客による省エネルギーのシリコンフォトニクスやその他の新技術を組み込んだ新しいチップ設計の製造を支援するために、米国カリフォルニア州の生産能力を大幅に増強している。
市場調査会社のTechSearchでプレジデントを務めるJan Vardaman氏によると、先端パッケージング技術と研究開発において、今後数年間は需要が供給を上回る可能性が高いという。AI(人工知能)は、高性能コンピューティング(HPC)と低電力エレクトロニクスの限界を押し広げていて、マイクロエレクトロニクス、特に先端パッケージングの進歩が求められている。新技術に対する需要は、米国が何十年にもわたって後れを取ってきたビジネスでリードを奪うチャンスとなる。
Vardaman氏はEE Timesに、「資金提供の目的は、追い付くことではなく、むしろ先行することであるべきだ。それには、企業が特にデータセンター向けに、より電力効率の高いソリューションを開発することが不可欠である。発展途上にある分野は先行できる可能性が高い」と語った。
米国の支援の恩恵を受けられる可能性がある分野は例えば、フォトニクスや、エネルギーを大量に消費するアプリケーションの電力消費を削減できると期待される新しいサーマルパッケージング材料などだという。
米国政府からの補助金を待たない企業もある。ASEの子会社であるISE Labsは2024年7月11日(米国時間)、約3000万米ドルを投じて、カリフォルニア州サンノゼに米国で2カ所目となる研究開発施設を開設した。ISEの北米の顧客は、AI、先進運転支援システム(ADAS)、HPC向けチップを開発している。同社はサービスの一環として、シリコンフォトニクスのテストも行う予定だという。
ISE Labsのプレジデントを務めるJui Ko氏はEE Timesの取材に対し、「フォトニクスはウエハーレベルで統合されるだろう。金属と金属を電気的に接触させるのとは違って、フォトニクスでは光を一直線に並べなければ適切な信号が得られない。★それには、信号を送信して、もう一方の端で信号の整合性を確認すべきなのだろうか。★これらは全て、業界が現在直面している課題だ。当社は、これらの技術の開発の最前線に立つつもりだ」と語った。
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