埼玉大学や名古屋大学、東京工業大学、東京大学および、金沢大学の研究グループは、直流kV・kAの電力を小型軽量の機器で高速遮断できる、新方式の電力機器「限流遮断器」を開発した。
埼玉大学や名古屋大学、東京工業大学、東京大学および、金沢大学の研究グループは2024年10月、直流kV・kAの電力を小型軽量の機器で高速遮断できる、新方式の電力機器「限流遮断器」を開発したと発表した。
再生可能エネルギーの大量導入や電力化率を向上させて、カーボンニュートラルを実現するためには、新しい電力システムや電化機器が必要となる。これらのシステムや機器は、「直流」で運用されることが多い。このため、経年劣化などによりシステムが異常状態になると、通常運用時に比べ数十倍以上の大電力が発生し、大規模故障や火災の原因になるという。
こうした事態を避け、電力を安全に運用するためには、異常な大電力を速やかに遮断する必要がある。ところが交流の遮断に比べ、直流を遮断するのは極めて難しく、これまで汎用的な遮断器はなかったという。
研究グループはこれまで、ヒューズと半導体が連係した新遮断方式の基礎原理を実証してきた。その上で、メカトロニクス制御と組み合わせ、高速ヒューズ転換による再閉路を実現してきた。ところが、この技術を適用できるのは数百ボルト・数百アンペアという小電力に限定されていた。
そこで今回、ヒューズ・半導体・メカトロニクス制御の協調動作を強化した。この結果、直流kV・kAの電力を約10ミリ秒で高速遮断することに成功した。しかも、開発した限流遮断器の外形寸法は最大0.4×0.5×0.3mで、重さは最大10kgである。現行機器(外形寸法は最大1×1×1m、重さは最大100kg)に比べ大幅に小型軽量を実現した。
今回の研究成果は、埼玉大学大学院理工学研究科の稲田優貴准教授、名古屋大学大学院工学研究科の兒玉直人助教、東京工業大学工学院の全俊豪助教(研究当時、現在は青山学院大学理工学部電気電子工学科の准教授)、東京大学大学院工学系研究科の大西亘准教授、金沢大学理工研究域電子情報通信学系の中野裕介助教(研究当時、現在は准教授)らによるものである。
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