AIモデルはますます大規模になっていることから、このようなモデルを複数のGPU/アクセラレーター全体に分割する必要があるため、高速/高効率のインターコネクトの重要性がかつてないほどに高まっている。
Harris氏は、「クラスタ間のコネクティビティが弱いと、非効率的なワークロードパーティショニングを余儀なくされ、性能が停滞してしまう。Passageは、AIクラスタのエネルギー消費量を劇的に削減し、スケールアップ領域を拡大する。これにより、AI向けの膨大な数のxPU(CPU、GPU、NPU、TPUなど)クラスタ構築の妨げとなっている問題に根本的に対処できるようになる」と述べている。
市場リーダーであるNVIDIAは、同社の次世代システム「NVIDIA GB200 NVL72(以下、NVL72)」でChip-to-Chip(チップ間)の銅インターコネクトを維持することを選択した。このNVL72が利用可能になれば、大規模クラスタの主流派技術になると期待されている。NVIDIAは発表当時、EE Timesに対し、「この選択は、消費電力量のためだ」と述べていた。
Harris氏は、「業界は常に、次世代技術へと移行する前に、既存技術の性能を一滴残さず絞り出してきた。Passageは、大規模なスケールアップ領域や低レイテンシ、膨大な帯域幅など、電気相互接続では不可能な性能のブレークスルーを実現することができる」と自信をみせる。
また同氏は、「現在、Lightmatterと競合する光チップレットメーカーは数社存在する」と述べる。
「こうしたグループは、TSMCのような実績ある技術メーカーが市場に参入するに伴って縮小していくのではないかと期待している。さらに重要なのは、われわれは光チップレットが十分なブリッジになるとは考えていないという点である。その性能は、標準的な光プラガブルと似過ぎていて、メモリとI/Oとの直接競合による、同じビーチフロントのトレードオフの問題を抱えているからだ」(Harris氏)
同氏は、「今のところ、Passageのけん引力は非常に素晴らしい」と述べている。
「一般的な顧客フィードバックでは、『Passageは、これまで不可能だった新しいコンピューティングアーキテクチャを実現可能な、インターコネクト技術におけるブレークスルーだ』とされている。ハイパースケーラーや大手半導体メーカーは、今や最先端のスーパーコンピュータはPassageなしでは実現し得ないということを理解している」(Harris氏)
Harris氏は、「Lightmatterは、従業員数が現在約200人で、サンフランシスコのベイエリアの顧客企業にもっと近くなるよう、本社をボストンからマウンテンビューに移転したところだ。最近、トロントにもオフィスを開設した」と述べる。
LightmatterのシリーズDは、新規投資家たちが主導し、Fidelity Management & Research CompanyやGoogle Venturesなどの既存投資家も参加した。これまでの総調達額は、8億5000万米ドルに達するという。
Harris氏によると、Passageで構築する最初のクラスタは、2025年末に稼働する見込みだ。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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