Samsung Electronicsの半導体事業の業績が伸び悩んでいる。筆者としては「ファウンドリー(半導体受託製造)事業の低迷がより大きな問題ではないか」と分析している。ファウンドリー業界ではIntelがファウンドリー部門の分社化を発表した。ファウンドリー業界は今どうなっているのか、今後はどうなるのか。探ってみる。
2024年10月31日、Samsung Electronics(以下、Samsung)が2024年度第3四半期(7〜9月期)決算を発表した。総合電機メーカーである同社の売上高は79兆1000億ウォン、過去最高を記録した。だが、半導体を含むDS(Device Solution)部門の業績は伸び悩んでおり、同部門の営業利益は第2四半期(4〜6月期)を下回っている。SamsungはHBM(High Bandwidth Memory)の出遅れを主要因と説明しているが、筆者としては「ファウンドリー(半導体受託製造)事業の低迷がより大きな問題ではないか」と分析している。ファウンドリー業界ではつい先日、Intelがファウンドリー部門の分社化を発表して注目を集めた。ファウンドリー業界は今どうなっているのか、今後の見通しはどうなのか、について私見を述べたい。
表1は、調査会社のTrendForceが公表している世界ファウンドリー市場シェアランキングである。
これによれば、2024年4〜6月期はTSMCがシェア62.3%と独走態勢を固めており、2位のSamsungも売り上げ、シェアを1〜3月期に比べて伸ばしている。TrendForceの2023年までの推定では、TSMCのシェアは60%未満にとどまっていたが、2024年4〜6月期の実績を見ると、TSMCのシェアが徐々に増え、Intelの名前がトップ10から消えている。ただし2位のSamsungが比較的健闘しているようで、一見ポジティブに評価できそうなのだが、今回の決算を見る限り「7〜9月期はSamsungにとってかなり厳しい状況になっているのではないか」と思えるのである。
図1はSamsungの四半期売上高推移を部門別に示したグラフである。
DS部門の売上高は、メモリ(Memory)とその他デバイス(Other Devices)に分類されている。Memoryは4〜6月期が21兆7400億ウォン、7〜9月期が22兆2700億ウォンと前四半期比で2%増となっているが、WSTSによれば、世界メモリ市場は同10%増を記録している。本来は為替変動なども考慮した上で分析すべきだが、Samsungが市場全体に比べて伸び悩んでいることは事実であり、競合他社に対してHBMで出遅れたことが最大の要因、といえるだろう。
Other Devicesにはファウンドリー事業だけでなく、メモリ以外の半導体、さらには液晶なども含まれているので、売上高は前四半期比で伸びているものの、詳細な分析はできない。しかし、気になるのはDS部門の営業利益である。
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