さらに、S-821A/1Bシリーズでは、放電過電流保護を3段階を備えている。放電過電流1が±0.75mV、放電過電流2が±2mV、負荷短絡が±4mV(いずれもS-821Bシリーズの場合)となっていて、各段階で「業界トップクラス」(同社)の精度を実現しているという。加えて、過充電検出電圧精度も±15mVと「業界トップクラスの精度」と説明。これらによって、電池パックの安全性を確保しつつ、充電容量や使用時間などの電池性能を最大限に引き出すことが可能だとしている。
この他、パワーセービング入力端子も搭載。外部信号によってパワーセービング機能を動作させ、電池からの放電を禁止でき、同時に保護IC自身の消費電流も50nA(max.)に抑えることが可能だ。開発担当者は、「この機能によって在庫期間中の製品未使用時に、電池残量ゼロになるまでの期間を延ばせる。電池を深放電から保護することで製品の安全性強化にも貢献できる」と説明している。また、NTCサーミスターを外付けすることで過熱保護も実現可能で、バッテリーの安全性が向上し、過熱による故障やトラブルを防止できるとしている。なお、100kΩまたは470kΩのNTCサーミスターが使用でき、+65〜+85℃までの温度を検出可能だという。
S-821A/1Bシリーズは放電過電流検出電圧および充電過電流検出電圧の精度が異なる2シリーズに分かれている。より高精度なのがS-821Bだ。なお、パッケージは小型、低背のWLP-8V(1.52×1.08×t0.35[max.]mm)または、アウターリード付きで実装が容易なSNT-8A(2.46×1.97×t0.5[max.]mm)を採用している。
同社はスマートウォッチやスマホの他、タブレットPCやヘッドセット、活動量計、ワイヤレスイヤホンなどのアプリケーション向けにS-821A/1Bシリーズを展開していく方針だ。また、さらなる高精度化や、パワーセービング機能やNTCサーミスター接続用の端子などを省くことによる小型化など、顧客の要望に応える形の製品開発も進めていく予定だという。
S-821A/1Bシリーズの主な仕様は下記の通りだ。
| 製品名 | S-821A | S-821B |
|---|---|---|
| セル数 | 1セル | |
| 過充電検出電圧(精度) | 3.50V〜4.80V(±15mV) | |
| 過放電検出電圧(精度) | 2.00V〜3.00V(±50mV) | |
| 放電過電流1検出電圧(精度) | −0.003V〜−0.100V (±1mV) |
−0.003V〜−0.100V (±0.75mV) |
| 放電過電流2検出電圧(精度) | −0.006V〜−0.100V (±3mV) |
−0.006V〜−0.100V (±2mV) |
| 負荷短絡検出電圧(精度) | −0.020V〜−0.100V (±5mV) |
−0.020V〜−0.100V (±4mV) |
| 充電過電流検出電圧(精度) | 0.003V〜0.100V (±1mV) |
0.003V〜0.100V (±0.75mV) |
| 消費電流 | 動作時 | 6.0μA typ.,10μA max.(Ta=+25℃) |
| パワーダウン時 | 50nA max.(Ta=+25℃) | |
| パワーセービング時 | 50nA max.(Ta=+25℃) | |
| 搭載パッケージ | SNT-8A、WLP-8V | |
| 動作温度範囲 | Ta=-40℃〜+85℃ | |
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