GlobalFoundriesのシニアディレクターを務めるVikas Gupta氏はEE Timesのインタビューで、「より高いデータレートとより低い消費電力はデータセンターの成長の鍵となっており、シリコンフォトニクスが優位に立っている」と述べている。
今日のデータセンター向けフォトニクス部品の多くは、スイッチやGPUボードに挿入可能な標準プラグを備えている。このプラガブルな形状は、シリコンベースのCo-packaged Optics(CPO)に移行しつつあり、変換インタフェースはコンピューティングにより近くなっている。
Gupta氏は、「これらのインタフェースは電子機器の近くに配置されているため、消費電力を削減できる可能性があり、(システム設計者は)銅トレースで発生しているシグナルインテグリティ損失の全てを、ボードレベルでも考慮する必要がなくなる。シリコンフォトニクスには、次世代データセンターに必要なデータレートを維持または向上させながら、データセンターの損失を大幅に削減する能力と機会がある」と述べている。
エネルギー効率の典型的な指標は、ビットあたりのピコジュールである。
「シリコンフォトニクスを使用したCPOは、エネルギー効率を1ビットあたり5ピコジュール以下に下げることができる。さらに、1ピコジュールまで下げることも可能だ」とGupta氏は述べている。「当社の顧客は既に、シリコン上でビットあたり5ピコジュールを実証している。次世代では、5ピコジュールをはるかに下回ると期待している」(Gupta氏)
Gupta氏はさらに、「GlobalFoundriesには、プロトタイプフェーズが完了間近の顧客テープアウトがいくつかある」と付け加えた。
同氏によると、少なくともトランシーバー側、データ通信側では、生産開始の準備ができている顧客が数社ある段階だという。
GlobalFoundriesの米PsiQuantumやオーストラリアDiraqといった量子コンピューティングの顧客は、フォトニクスを購入している。PsiQuantumは、GlobalFoundriesのニューヨーク州マルタ工場で、標準的な45nm窒化ケイ素フォトニクスプロセスでフォトニックチップを製造している。
ただし、量子コンピューティング企業は、生産を開始するためにGlobalFoundriesのファブに独自のツールを設置する必要がある。
Gupta氏は、「シリコンは、変調器などの材料としては勢いを失っており、薄膜ニオブ酸リチウムやチタン酸バリウムなどの他の材料が登場すると予想される。また、レーザー用もしくは半導体光増幅器としてシリコンフォトニクスダイにリン化インジウムを加える必要性が出てくることも考えられる。非シリコンベースのこれらの異種材料を使用するとなれば、シリコンフォトニクス固有の設備に刷新する必要が生じる。シリコンフォトニクスのためにシリコンを異なる材料に異種接合するとなれば、特定のツールが必要になるだろう。それをファブ内で行うか、ポストファブで行うかは、技術によって異なる。現時点では、シリコンフォトニクスのファブ内でのツールの使用がかなり多い」と述べている。
組み立ておよびテスト企業は、サプライチェーンのボトルネックの一つである。
Gupta氏は、「OSAT(Outsourced Semiconductor Assembly and Test)企業は、フォトニクスが著しく成長している市場であり、同市場に参入する必要があることを認識している」と述べている。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.