柔らかく伸び〜る回路基板 液体金属で回路形成 : ヘルスケアデバイスが自然な装着感に
サトーセンは「SEMICON Japan 2024」にて伸縮性のあるシート上に液体金属を用いて回路を形成した回路基板「ストレッチャブル基板」を紹介した。50%ほど伸ばすことができ、伸縮は25万回繰り返せる。
サトーセンは「SEMICON Japan 2024」(2024年12月11〜13日、東京ビッグサイト)にて伸縮性のあるシート上に液体金属を用いて回路を形成した回路基板「ストレッチャブル基板」を紹介した。
サトーセンの「ストレッチャブル基板」[クリックで拡大]
柔らかいシート状で、大きく曲げることができる[クリックで拡大]
サトーセンは、大阪市を拠点にプリント基板を手掛けるメーカーだ。もとはリジット基板を中心に製造していたが、ウェアラブルデバイスへの注目が高まったことから、2016年に体の動きに合わせて伸縮するストレッチャブル基板の開発に着手したという。
開発当初の製品は、シリコーン樹脂やポリウレタンの柔らかいシート上に銀(Ag)のペーストで回路を形成したものだった。これには、使用を繰り返すうちに抵抗値の変化が増大する、回路にひびが入り導電性が損なわれるといった課題があった。
この課題を踏まえて2024年7月に新たに発表したのが、液体金属を用いたものだ。まずはAgのペーストで回路を形成し、その上にガリウム(Ga)系の液体金属を重ねると、伸縮や変形によるダメージを抑えた回路が実現したという。50%ほど伸ばすことができ、伸縮は25万回繰り返せる。
回路形成方法は、全面に金属膜を形成してから不要な部分を取り除くサブトラクティブ法ではなく、必要な部分だけ形成するアディティブ法なので、材料の使用量を削減できる。水を使わないため、廃液も発生しない。
ストレッチャブル基板の利用例[クリックで拡大]
ストレッチャブル基板は、ウェアラブルデバイスやヘルスケア用のセンシングデバイスでの活用を見込む。サトーセンのブース担当者は「幼い子どもや高齢者は、ウェアラブルデバイスを着用しても違和感を覚えて無理に外してしまう場合がある。ストレッチャブル基板を用いた柔らかいデバイスならば着け心地が気にならない」と説明していた。
必要な部分だけ「回路を印刷」、FPCの独自製法
エレファンテックは「CEATEC 2023」にて、独自手法「ピュアアディティブ法」で製造したフレキシブルプリント回路基板「P-Flex」を展示した。同手法は、金属インクジェット印刷技術を用いて基板上に回路形成することで、資源の使用量を大幅に抑えることができる技術だ。P-Flexは「CEATEC AWARD 2023」にて、経済産業大臣賞を受賞した。
150℃耐熱の高耐電圧コンデンサー用フィルムを開発、東レ
東レは2024年12月16日、150℃で動作可能な高耐熱性を有する高耐電圧コンデンサー用フィルムを開発したと発表した。小型/高信頼性の耐熱コンデンサーの実用化を加速させ、SiC(炭化ケイ素)パワー半導体搭載インバーターの冷却機構簡略化による小型化/軽量化につながるとしている。
EUV用フォトマスク上で2nm以降の微細パターン解像に成功、DNP
大日本印刷(以下、DNP)は2024年12月12日、EUV(極端紫外線)リソグラフィに対応した、2nmプロセス世代以降のロジック半導体向けフォトマスクに要求される微細なパターンの解像に成功したと発表した。さらに、高NAに対応したフォトマスクの基礎評価が完了し、評価用フォトマスクの提供も開始したという。
600℃でCOからカーボンブラックを大量に合成
東京科学大学(Science Tokyo)は、プラズマ流動層反応装置を用い、約600℃の低温でCOから電気伝導性が高いカーボンブラックを連続かつ大量合成することに成功した。合成プロセスにプラズマで発生する熱などを有効利用できれば、CO2排出量を従来の10分の1に低減できる可能性もある。
ルチル型GeO2で「世界初」半導体デバイスの動作確認
Patentixは、r-GeO2(ルチル型二酸化ゲルマニウム)単結晶薄膜上にショットキーバリアダイオード(SBD)を形成し、その動作を確認した。
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