自在な膜厚コントロール インクジェットで接着剤塗布 : 半導体後工程に適用可能
エレファンテックは「SEMICON Japan 2024」にて、インクジェットによる高精度な塗布技術を紹介した。接着剤などの塗布において局所的な膜厚コントロールを実現するもので、半導体後工程に適用できる。
エレファンテックは「SEMICON Japan 2024」(2024年12月11〜13日、東京ビッグサイト)にて、インクジェットによる高精度な塗布技術を紹介した。接着剤などの塗布において局所的な膜厚コントロールを実現するもので、半導体後工程に適用できる。
エレファンテックの塗布技術の特徴[クリックで拡大]
エレファンテックは、金属インクジェット印刷技術を用いて基板上に回路を形成する省資源なフレキシブルプリント回路基板などを手掛けている。その製造にあたって同社が求める水準で高精度に制御できる印刷機がなかったことから、印刷機自体の開発にも着手したという。
エレファンテックが手掛ける印刷機は、AI(人工知能)を用いた同社独自の高精度インクジェット製造技術「NeuralJet」を適用したものだ。汎用ピエゾチップを用いて「平均着弾位置誤差2μm以下」「20μmの液滴を40μmの溝や井戸に100%着弾」といった高い印刷制度を実現している。
ブースでは、ウエハーへの高耐熱接着剤塗布のサンプルを展示した。接着剤を塗る箇所と塗らない箇所を細かくパターニングしたり、エリアごとに膜厚をコントロールしたりといった制御が可能だ。
展示したサンプルは、1枚のウエハー上で接着剤の膜厚を4μm、12μm、27μmと段階的に変更したもので、接着剤を塗らない箇所も設けている。表面粗さ(Ra)も0.8nmと小さい。
左=サンプルの接着剤塗り分け図。右=実際に高耐熱接着剤を塗布したウエハー。膜厚変更によるわずかな段差が模様のように見て取れる[クリックで拡大] 出所:
従来、エレクトロニクス分野での接着剤はフィルム状のものが多く用いられてきたが、細かい塗り分けや膜厚コントロールは困難だった。エレファンテックのインクジェットによる塗布技術は、こうした課題を解決できるものだという。
同社のブース担当者は、「ユーザーからは精度についての評価が高い。先端パッケージングやシリコンフォトニクスにおける異種/立体接合に活用してほしい」と説明した。
必要な部分だけ回路を印刷、「普通のPCB」で実現 エレファンテック
エレファンテックは、インクジェット印刷技術によって銅の使用量を70〜80%を削減する独自技術による、汎用多層基板の開発に成功したと発表した。「PCB製造における製造コストを年間1兆円以上削減するポテンシャルが存在する」としている。2025年前半には試作提供を開始する予定だ。
必要な部分だけ「回路を印刷」、FPCの独自製法
エレファンテックは「CEATEC 2023」にて、独自手法「ピュアアディティブ法」で製造したフレキシブルプリント回路基板「P-Flex」を展示した。同手法は、金属インクジェット印刷技術を用いて基板上に回路形成することで、資源の使用量を大幅に抑えることができる技術だ。P-Flexは「CEATEC AWARD 2023」にて、経済産業大臣賞を受賞した。
低炭素PCB量産で協業、台湾LITE-ONとエレファンテック
LITE-ON Technologyとエレファンテックは2023年11月15日、低炭素プリント基板(PCB)の量産化推進に向けてMoU(協業覚書)を締結した。エレファンテックは、独自手法で製造する低炭素PCB「P-Flex」をLITE-ONのPCキーボード向けバックライト用に提供する。
半導体装置業界は「新興プレイヤーにもチャンス」 ニッチ需要が鍵
2024年12月11〜13日に開催される「SEMICON Japan 2024」。主催のSEMIジャパンで代表取締役を務める浜島雅彦氏に、注目ポイントや半導体業界の動向について聞いた。
膜形成時の泡を98%削減 ウエハーの歩留まり向上に効く
東京エレクトロンと太陽ホールディングス(太陽HD)は2024年6月5日、半導体実装/材料分野の最新技術に関するプレス向けセミナーを実施した。東京エレクトロンは次世代の塗布現像機に実装予定の膜形成手法や塗布手法を、太陽HDは、半導体の3次元積層に向けて研究開発を進めている高解像度感光性絶縁材料を紹介した。
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