東京エレクトロンと太陽ホールディングス(太陽HD)は2024年6月5日、半導体実装/材料分野の最新技術に関するプレス向けセミナーを実施した。東京エレクトロンは次世代の塗布現像機に実装予定の膜形成手法や塗布手法を、太陽HDは、半導体の3次元積層に向けて研究開発を進めている高解像度感光性絶縁材料を紹介した。
東京エレクトロン(以下、TEL)と太陽ホールディングス(以下、太陽HD)は2024年6月5日、省電力化に向けて開発を進めている半導体実装/材料分野の最新技術に関するプレス向けセミナーを実施した。
TEL CTSPSBU クリーントラックマーケティング部 スペシャリストの土屋勝裕氏は冒頭、後工程市場の動向について「半導体の微細化に伴い、微細化パターニング技術や材料、デバイス構造に関する課題が多く出てきている。特に、モバイル関連のパッケージング技術の進化が目覚ましく、高性能化、小面積化、薄型化への要求が高まっている」と説明した。
TELは、アドバンスドパッケージ(先進パッケージング)向けの新技術として開発中の膜形成手法や塗布手法を紹介した。
膜形成技術では、膜形成時に膜内に発生する泡を従来比98.3%(数個まで)削減するという。土屋氏は「膜形成の過程で泡が発生することは避けられない。泡を放置するとウエハーの欠陥や信頼性低下を引き起こし、歩留まりが低減する原因になる。しかし、これまで泡の発生を抑制する技術は実現していなかった」と語る。塗布手法では、チップレットを実装する上で発生する段差があっても平たんに材料の塗布が可能だ。いずれの技術も1〜2年以内の開発完了を目指している。
これら2つの技術は、TELのアドバンスドパッケージ向け塗布現像機「CLEAN TRACK LITHIUS Pro AP」の次世代品に搭載される計画だ。導入済みのCLEAN TRACK LITHIUS Pro APに後付けで追加することもできる。なお、CLEAN TRACK LITHIUS Pro APは、TELが2016年から販売している装置で、小さい設置面積と高い生産性を両立している他、高粘度材料や複雑な基板の取り扱いもできることが特徴だ。
昨今、デバイスの高性能化によりアドバンスドパッケージの需要が高まるにつれ、塗布現像技術の活用場面が広がり、塗布現像機の需要が増加しているという。土屋氏は「CLEAN TRACK LITHIUS Pro APは発売当初、年間で数台の引き合いしか来なかった。しかし、現在は需要が急激に増加していて、年間で2桁以上の引き合いを受けている」と説明した。
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