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群雄割拠のチップレット 「理にかなった」戦略をとっているのは?この10年で起こったこと、次の10年で起こること(88)(3/4 ページ)

» 2025年01月14日 11時30分 公開

「賢いチップレット」と「その場しのぎのチップレット」

 図4は2024年にIntelが発売したPC向けプロセッサの新シリーズ「Core Ultra」の様子である。IntelはCore Ultraを3ファミリー(Meteor Lake、Luner Lake、Arrow Lake、いずれも開発コードネーム)立て続けに発売し、いずれもシリコンを組み合わせるチップレット構成になっている。3ファミリーともにPC向けなので、共通シリコンが多いものだと予想された。

図4:「Intel Core ultra」の3品種 図4:「Intel Core ultra」の3品種[クリックで拡大] 出所:テカナリエレポート

 表2はIntel Core Ultra 3ファミリーのシリコン種をまとめたものである。機能トランジスタのないFillerシリコン(隙間埋め)は表には加えていない。Intelは3ファミリーを作るために、トータルで12種類のシリコンを開発している。異なるプロセス(3nm/5nm/6nm)のTSMC製の機能チップもあれば、配線と電源のためのシリコンインターポーザー、Intel自社ファブ製もある。チップレットの名前通りの“寄せ集め”となっている。共通化されたシリコンは表中の水色のわずか1個だけ。チップレットには2種存在する。“Smartチップレット(賢い)”と“Stopgapチップレット(その場しのぎ)”だ。Intel Core Ultraは現時点ではStopgapチップレットと言わざるを得ない。

表2:Core Ultraの3品種の比較 表2:Core Ultraの3品種の比較[クリックで拡大] 出所:テカナリエレポート

 図5は2023年のIntel Coreシリーズ最後のチップである「Intel Core i9プロセッサー 14900K」とArrow Lake、そしてAMDが2024年第3四半期に販売を開始した「Ryzen 9000Xシリーズ」の比較である。1シリコンで製造された14900Kに対してチップレット化されたArrow Lakeは下敷きとなるシリコンインターポーザーの面積も加算されるのでシリコン面積は2倍以上を必要とするものになっている。シリコン面積≒コストなので、面積2倍はシリコン消費量の観点では進化ではなく退化と見えてしまう。一方AMDはSmartチップレットだ。CPUシリコンだけを増減しハイエンドからローエンドまでチップレットで作り分けているからだ。

図5:Intelの「Raptor Lake」「Arrow Lake」と、AMD「Ryzen 9000Xシリーズ」のシリコン面積の比較 図5:Intelの「Raptor Lake」「Arrow Lake」と、AMD「Ryzen 9000Xシリーズ」のシリコン面積の比較[クリックで拡大] 出所:テカナリエレポート

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