台湾南部でM6.4の地震、TSMCやUMCの被害は軽微か TrendForce:TVパネル供給は「悪化の可能性」
2025年1月21日未明、台湾南部を震源とするマグニチュード6.4(M6.4)の地震が発生した。台湾の市場調査会社TrendForceによると、震度4を観測したTSMCやUMCらファウンドリーの台南工場では、従業員が避難し点検のため装置を停止したが、21日朝には操業を再開。大きな被害はなく「地震による生産への影響は制御可能な範囲内にあるようだ」としている。
2025年1月21日未明、台湾南部を震源とするマグニチュード6.4(M6.4)の地震が発生した。台湾の市場調査会社TrendForceによると、震度4を観測したTSMCやUMCらファウンドリーの台南工場では、従業員が避難し点検のため装置を停止したが、21日朝には操業を再開。大きな被害はなく「地震による生産への影響は制御可能な範囲内にあるようだ」としている。
TrendForceによると、TSMCは台南で8インチウエハー工場と2つの300mmウエハー工場を運営。成熟ノードから5/4nmおよび3nmプロセスまで幅広い技術で生産している。UMCも同地域に30mmウエハー工場を有していて、90nmから14nmプロセスで生産している。この地域では今回の地震で震度4を観測。工場では直ちに従業員の避難および点検のための装置停止が実施された。TrendForceは、これらの工場について「加熱炉には避けられない破片の発生があったが、重要な設備の損傷は報告されていない」と説明。施設は21日朝から操業を開始しているという。
同社によると、台南の工場では多様な製品を生産しているが、成熟プロセスの全体的な稼働率は、部品需要の季節的な落ち込みを反映して現在70〜80%程度で、生産調整には大きな柔軟性があるという。また、先端ノードについても、現在ウエハーハスタートのほとんどは在庫準備のためで、「短いダウンタイムや軽微な破片の影響は容易に軽減できる」と説明。「地震による生産への影響は制御可能な範囲内にあるようだ」との見方を示している。
一方、台南市はパネル製造の主要拠点であり、TrendForceは「既に逼迫しているTVパネルの供給状況が2025年第1四半期にさらに悪化する恐れがある」とも述べている。同地域は大手ディスプレイメーカーInnoluxがFab 2、Fab 3、Fab 5、Fab 6、Fab 7などの主要施設を置く、同社の本拠地だ。また、近くの高雄市にも同社のFab 8、Fab 8b、T6がある。TrendForceは、「これらの工場のいくつかは老朽化している。今回の地震は激しかったことから、台南のいくつかの工場では装置のシャットダウンが報告され、被害の程度はまだ評価中だ」と述べている。
- TSMC、25年から年平均20%成長へ 24年Q4は57%増益
TSMCは2024年第4四半期の業績を発表した。売上高は8684億6000万ニュー台湾ドル(約4兆1400億円/269億米ドル)で、前年同期比38.8%増、前四半期比14.3%増だった。純利益は3746億8000万ニュー台湾ドル(約1兆7900億円/114億米ドル)で、前年同期比57.0%増、前四半期比15.2%増だった。売上総利益率は59.0%、営業利益率は49.0%だった。
- 成熟ノードチップ、中国で過剰供給か
中国では現在、レガシーノードの半導体製造プロセスを用いて作られたチップ(成熟ノードチップ)が過剰に供給されているという。TSMCとSamsung Electronicsを除くと、2024年の世界成熟ノードチップの営業利益は前年比で23%減少する見込みだ。中国では、利益を出せずに倒産する半導体メーカーも出ている。
- ファウンドリー上位10社の売上高合計、24年3Qは過去最高に
台湾の市場調査会社TrendForceによると、2024年第3四半期(7〜9月)の世界ファウンドリートップ10社の売上高合計は前四半期比9.1%増の348億6900万米ドルで、過去最高を更新したという。同社は、「この成長の一部は高価格である3nmプロセスの大幅な貢献によるもので、パンデミック時に記録した売上高を更新した」とコメントしている。
- JDI、台湾Innoluxらと次世代OLEDで戦略提携
ジャパンディスプレイ(JDI)は、台湾Innoluxおよび同子会社CarUX Technology(シンガポール)と、次世代OLED(有機EL)ディスプレイ「eLEAP」に関して戦略提携を行った。今回の提携に基づき、JDIとCarUXはまず「32型車載用eLEAPディスプレイ」について、共同で市場開拓に取り組む。
- TSMC、24年Q3は売上高が過去最高 熊本第2工場は25年Q1から建設へ
TSMCは、2024年第3四半期の業績を発表した。売上高は7596億9000万ニュー台湾ドル(約3兆5500億円/235億米ドル)で、前年同期比39.0%増、前四半期比12.8%増。純利益は3252億6000万ニュー台湾ドル(約1兆5200億円/101億米ドル)で、前年同期比54.2%増、前四半期比31.2%増だった。
- TSMC、売上高/純利益が過去最高に 通期予想を上方修正
TSMCは、2024年第2四半期(4〜6月)の決算を発表した。売上高は6735億1000万ニュー台湾ドル(約3兆2000億円/205億米ドル)、純利益は2478億5000万ニュー台湾ドル(約1兆1800億円/754億米ドル)と、どちらも過去最高額を更新した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.