注目度がますます高まるチップレット集積技術。同分野では2025年初頭からニュースが相次いでいる。1月下旬に発表された、チップレット関連の主なニュースを簡単に紹介しよう。
ここ最近、チップレット関連の発表が相次いでいる。米スタートアップのBaya Systemsは資金調達ラウンドで3600万米ドルを獲得したと発表し、Armは、参画企業が60社を超える同社のチップレットシステムアーキテクチャ向けに、初となる公開仕様をリリースした。そしてKeysight Technologiesは「Chiplet PHY Designer」ソフトウェアを、スタートアップYorChipはオープンチップレット向けユニバーサルPHYを、それぞれ発表している。
Baya Systemsは、シリーズB投資ラウンドで3600万米ドルを獲得したと発表した。その中には、Synopsysによる戦略的投資も含まれるという。Baya Systemsは2024年にステルスモードから脱却しており、今回の調達資金は同社のAI/RISC-Vチップレットソリューションの拡充のために活用する考えだ。米国EE Timesは、2024年6月23〜27日に米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催された「DAC(Design Automation Conference)2024」において、Baya Systemsの創設者でありCEO(最高経営責任者)を務める Sailesh Kumar氏にインタビューを行っており、ステルスモードからの脱却について話を聞いている。
Kumar氏は、今回の投資調達発表の中で「CPUやGPU、ニューラルネットワークアクセラレーターなどさまざまなプロセッサの組み合わせがますます複雑化する設計には、長く頼ることはできない。単純にリスクが大き過ぎるのだ。再設計コストが高く、スケーリングが困難な他、指標が基準に満たないまま市場投入される可能性もある。Baya Systemsの性能重視のソフトウェアベースのアプローチは、当社独自のトランスポート/モジュラーファブリックIP(Intellectual Property)とも組み合わさって、単純化された設計プロセスで構造が正確なマルチダイソリューションを生み出すべく、ゼロから設計されている」と述べた。
2025年1月21日には、Armが同社のチップレットシステムアーキテクチャ(CSA)の大きな前進を発表した。今回、同社初となるCSAの公開仕様を提供し、60社の参画企業にはADTechnologyやAlphawave Semi、AMI、Cadence Design Systems、Jaguar Micro、Kalray、Rebellions、Siemens、Synopsysなどが名を連ねるという。
Armのインフラストラクチャビジネス部門担当バイスプレジデントを務めるEddie Ramirez氏は、同社のブログで「CSAの参画メンバーの中には、Armの『Neoverse Compute Subsystems(CSS)』を搭載するカスタムシリコンを提供するための専用エコシステム『Arm Total Design』の一環として、既にソリューションを構築しているベンダーも数社ある。Arm Total Designは現在のところ、市場に特化した戦略を実現するチップレットベースのコンピュートサブシステムの展開において成功を収めている」と述べる。
Ramirez氏は、ネットワーキングやエッジコンピューティング、ストレージ、セキュリティなど、AIワークロード向けの高性能チップを必要とする、Alphawave Semiとその顧客に焦点を当てている。「Alphawave Semiは、Arm Neoverse CSSを搭載するチップレットと、独自のI/Oダイを組み合わせることにより、AMBA CHI C2Cを使用して、各市場の特殊ニーズに合わせたアクセラレーターを接続できる。これにより、標準ベースから特殊市場向けカスタムSKUを派生させて、複数システムを構築する柔軟性を維持しながら、コンピュートダイのコストを償却できる」(同氏)
Ramirez氏は、ADTechnologyやSamsung Foundry、Rebellions、Armが、データセンターの大規模AIトレーニングや推論ワークロード向けとして、どのようにさまざま技術を組み合わせてAI CPUチップレットプラットフォームを構築したかという点を強調している。同氏は、「生成AIワークロード(Llama 3.1/パラメータ数は4050億)に関しては、2〜3倍高い効率性を達成できる見込みだ。このマルチベンダーチップレットプラットフォームは、Rebellionのアクセラレーター『REBEL AI』と、AMBA CHI C2Cインターコネクトを使用するコヒーレントなNPU(Neural Processing Unit)を組み合わせ、ADTechnologyの『Neoverse CSS V3』ベースのコンピュートチップレットで構築されている。CSAがこれまでに標準化作業を行った結果、現在ではSamsung Foundryの2nm GAA先進プロセス技術で実装できるようになった」と述べている。
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