2024年度第3四半期の業績を詳しく見ると、製品売上高は為替影響(+8億円)があったほか、新規量産品も順調に立ち上がっているものの、データセンター/ネットワーク分野における中国の通信機器関連を中心とした中国需要の減少によって前年同期比55億円減の350億円になった。
一方、設計開発段階に顧客から対価として受け取る売り上げである「NRE売り上げ(Non-Recurring Engineering)」は、為替影響(+2億円)があったが同11億円減の108億円となった。なお、前年同期は北米の自動車関係が中心だったが、今期は日本のハイエンド向けカメラ関係が増加した形で内容が変わっているという。またNRE売り上げは前四半期比でみれば24億円増となっている。米山氏は「NRE売り上げは成果物を引き渡しによって認識されるため四半期ごとにばらつきがあるが、大型商談の開発が進み、100億円を超えていて引き続き高水準だ」と説明していた。
営業利益は、製品売り上げ減少による製品粗利減およびNRE売り上げ減少、研究開発費などの増加から、前年同期比42億円減となった。なお研究開発費について米山氏は「売り上げの状況は芳しくないが、特に先端技術に対する投資に関しては緩めることなく続けている」と説明。チップレットや2nmプロセスなどの先端技術への投資およびソリューションSoC(System on Chip)設計に対する設計技術などを中心に投資を進めているという。
2024年度第3四半期売り上げの内訳をアプリケーション別にみると、中国の通信関係の売り上げ減少に伴い、データセンター/ネットワーク分野の比率が低下してきている。NRE売り上げは、引き続き自動車分野が4割近くを占めるが、今期は上述のハイエンド向けカメラ関係があったことで、スマートデバイスの割合が増加している。地域別では、製品売上高は中国向けの比率が引き続き減少。NRE売り上げも自動車向けや、前回決算で正式契約に至ったことを公表した北米データセンター向けの開発があることから、米国向けが5割近くを占める形を維持している。
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