2024年12月に行われたArmとQualcommのライセンスについての裁判では、Qualcommが勝訴している。この裁判以降、この訴訟に関する大きな進展が数多くみられた。さらに、QualcommはArmに対し、別途新たな関連訴訟を提起している。
ArmとQualcommの間で継続中の法廷闘争については、読者の皆さんはよくご存じだろう。2024年12月に行われた裁判では、Qualcommが勝訴している。この裁判以降、この訴訟に関する大きな進展が数多くみられた。さらに、QualcommはArmに対し、別途新たな関連訴訟を提起している。
2024年12月に米国デラウェア州で行われた審理では、陪審員が3つの論点のうち2つにおいてQualcomm側を支持する判断を下した。これにより、QualcommがNuviaの「アーキテクチャライセンス契約(ALA)」に違反したとする疑いは晴れ、自社のALAでNuvia技術を適用した製品の販売が認められることになった。しかし、陪審員が行き詰まったのは「Nuviaは、ArmとのALAに違反したのか」という点だった。両社と裁判官は引き続き、今後について話し合っていくという。
Armはこれに対して「審理無効」と宣言し、全面的な再審を求めることを公表した。筆者は今回の裁判を傍聴し、裁判官であるMaryellen Noreika氏の反応を見ていたが、同氏が再審の要求を受け入れるとは思えなかった。それどころか同氏は、次の裁判を行う前に両社間で強制調停を行うよう命令を出している。Armには、今回の判決を控訴する選択肢もある。
今回の裁判における証拠開示と証人の証言は、さまざまな面で情報の宝庫だったといえる。QualcommはArmの証人による一部の証言に言及し「Armは、Nuviaの機密情報を保護するというALA要件に従わず、さらにはそれを自社製品に使用した」と主張する。Armの数名の従業員は証言の中で「Armが一方的にライセンスを取り消した後、Nuviaの機密情報を破棄するというような指示は一切受けなかった」と述べている。
実際に、Armのエンジニアが、QualcommのカスタムCPU用の設定ファイルと、Nuviaの機密設定ファイルとのデジタル比較を実行し、ALA規定に直接違反したという証拠がある。さらにArmは、Nuviaが推奨する機密の性能改善を、コヒーレントメッシュネットワーク機能に取り入れたとされている。
さらにQualcommは「不浄な手(unclean hands)」と呼ばれる法原理に基づき、「Arm自身がALAの機密保持義務に従っていないため、NuviaがArmの機密情報を破棄しなかったことによって同じ契約に違反したと主張する根拠はない」と主張する。この申し立ては、2025年1月29日に提出され、2026年に裁判が行われる予定だ。
この「不浄な手」の主張は、特に未決定の問題や、さらには完全再審または上訴などに関するArmの論拠を大幅に弱めるものとなるだろう。
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