ソニーセミコンダクタソリューションズは2025年7月、GPUサーバ上で動作する、画像/動画解析用の大規模AIモデルのライセンス提供を開始する。同社のエッジAIセンシングプラットフォーム「AITRIOS」で活用されるハイパースケールモデルをベースにしたもので、既存のカメラを利用し、AIによる高精度な画像/動画解析が可能となるという。
ソニーセミコンダクタソリューションズ(以下、SSS)は2025年7月、GPUサーバ上で動作する、画像/動画解析用の大規模AIモデルのライセンス提供を開始する。同社のエッジAIセンシングプラットフォーム「AITRIOS」で活用されるハイパースケールモデルをベースにしたもので、既存のカメラを利用し、AIによる高精度な画像/動画解析が可能となるという。
SSSの100%子会社であるミドクラジャパンが同年5月から日本市場向けに「NVIDIA HGX B200」(以下B200)搭載のSupermicro製GPUサーバの取り扱いを開始(下記リンク参照)。そのオプションとして、GPUサーバ上で動く、画像/動画解析用の大規模AIモデル「ビジョンAIファンデーションモデル」のライセンス提供を開始する。
提供するのは、AITRIOSにおいてエッジAIモデルを自動最適化するクラウド版サービスの「Studio」向けに、大規模なデータセットと計算リソースを活用してトレーニングされたAIモデルをベースにしたもの。提供当初は、需要の高い「属性付き人物検知」や「車両検出およびナンバープレート認識」「コンテナID検出および認識」をターゲット用途としたAIモデルを用意し、以降、段階的にラインアップを拡大する予定だ。また、SSSは、既にサーバ環境を有する顧客に向け、大規模AIモデルのみのライセンス提供についても要望に応じて対応していく方針だという。
SSSでは2021年にイメージセンサーにAI処理機能を搭載した「IMX500」を発表。エッジAIソリューション向けの開発/運用プラットフォーム「AITRIOS」も展開し、エッジAIシステムの構築をサポートしてきた。また、2024年9月には、Raspberry Piと共同開発した、IMX500搭載カメラモジュールである「Raspberry Pi AI Camera」も発売され、同センサーおよびエッジAIソリューションの普及を加速してきた。
SSSはIMX500を活用するAITRIOSのAI開発用サービスとして、Raspberry Pi AI Cameraに合わせて提供を開始した、ローカルPCで実行できるオフライン版ツール「Local Edition」と、クラウド版でエンタープライズ向けのStudioを提供している。Studioは、ユースケースやタスクごとに求められるAIモデルの開発テンプレートを提供し、エッジAIモデルを自動最適化するサービス。例えば、物流業界における運送トラックのナンバープレート検知/認識ソリューションの開発の際、顧客はStudio上のナンバープレート検知/認識用のAIを利用することで、従来、少なくとも数日から数週間かかっていた再学習を最短1日以内で実行でき、自動最適化されたエッジAIモデルがカメラで利用可能となる。
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