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ソニーセミコン、ビジョンAI用の大規模モデルを提供へ既存のカメラで高精度解析が可能に(2/2 ページ)

» 2025年05月07日 17時00分 公開
[永山準EE Times Japan]
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大規模AIモデルの提供を決めた理由

 SSSは、今回、こうしたStudioで利用しているハイパースケールモデルの商用化を決めた形だが、SSSのシステムソリューション事業部長である柳沢英太氏は、その理由について「AITORIOSのサービスでは、大規模なAIモデルを『蒸留』し、IMX500で動作する軽量なAIを生成するという形で内部で動いている。だがIMX500が搭載されていない、既に現場に実装しているカメラを活用したいという顧客の声も多くあった」と説明。今回の対応はそうした要望に応えるもので、GPUサーバで動くハイパースケールモデルそのものを顧客にライセンス提供し、ハイエンドGPUサーバの性能を最大限に生かすことで、そうした既存のカメラでも高精度な画像/動画解析が実現可能となるという。

 なお、このハイパースケールモデル提供の検討を進める中で、そもそも日本国内ではGPUサーバが入手困難で、また、ハイパースケールモデルをGPUサーバ上で動かすために必要なインフラエンジニアやAIエンジニアが不足していることも分かってきたことから、上述の通りGPUサーバ販売および、クラスタリング/AI開発環境構築なども含めたワンパッケージで提供可能な事業として実施することを決定したとしている。

提供するのは3億〜4億パラメータの大規模AIモデル

 ライセンス提供するハイパースケールモデルは平均的には3億〜4億パラメータ程度で、「IMX500で動作するモデルと比べると300〜400倍程度」(柳沢氏)となっている。今回、GPUサーバの販売開始においてはNVIDIAの最新GPUであるB200を強調しているが、モデルは前世代のH100やV100などでも動作可能だ。

 柳沢氏は同モデル提供における強みとして「イメージセンサーを熟知するSSSは、AIが認識するカメラの画像そのもののスペシャリストだ。われわれは、他社ではできないような画像認識のための絵作りをし、ハイパースケールモデルにも入れていく。ハイパースケールモデルをただ提供するだけでなく、性能を上げるためのからくりも技術の会社であるソニーとしてしっかり取り組んでいる」と強調。また、年間数億〜数十億円にもなるというビックテックら競合のサービスなどと比較して高いコスト優位性があるとしている。

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