Lam Researchは併せて、コンダクターエッチング装置「Akara(アカラ)」も発表した。同社は2004年にコンダクターエッチング装置「Kiyo」をリリースした。現在は累計3万モジュールのチャンバーが展開されている。
ラムリサーチでリージョナルテクノロジーグループ マネージングディレクターを務める西澤孝則氏は「AI時代に必要なデバイスアーキテクチャを実現するには、プラズマエッチングの性能をさらに超えるエッチング性能が必要になる」と語る。
そこで開発されたのがAkaraだ。Lam Researchのエッチングプラットフォーム「Sense.i(センスアイ)」向けの装置となる。
Akaraでは「Direct Drive」「TEMPO」「SNAP」という3つの新しい技術を採用した。Direct Driveはソリッドステートのプラズマ源で、従来方式に比べ100倍速い応答性能でプラズマを生成する。「Direct Driveはプラズマ制御を根本的に見直して開発した技術。従来のプラズマ源とは全く違う機構になっていて、プラズマを高精度かつ高速に制御できる」(西澤氏)。TEMPOは、プラズマを制御する独自の機能で、高いエッチング選択性と、深さ方向の均一な加工を実現する。SNAPはイオンエネルギーを高精度に制御するシステムで、原子レベルの精度でエッチング形状を形成する。
3D DRAMや、次世代トランジスタ構造の一つであるCFET(コンプリメンタリFET)では、非常に高いアスペクト比の加工が求められている。Akaraでは、DRAMでは深さ9ミクロンのトレンチエッチングを垂直に実現できていることが確認された。CFETでも、異なるゲルマニウム濃度のレイヤーを真っすぐに加工できている。「濃度が異なるゲルマニウムの層を垂直に加工するのは非常に難しい」と西澤氏は説明する。
CD(Critical Dimension)バイアスのばらつきも改善した。AkaraではDirect Driveの導入により、ミリ秒オーダーでプラズマが安定する。従来は数秒間かかっていた。これらの機能により、CDバイアスばらつきを1.5Å以下に抑えることが可能になった。現時点で先端となるGAA(Gate-All-Around)のCDバイアスばらつきは3Åなので、約半分に抑えられることになると西澤氏は説明した。
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