半導体メーカーは米国政府に対し、インセンティブの拡大と規制の緩和を要請している。
TSMCは「トランプ政権は、TSMCアリゾナ工場のような投資を迅速に進められるよう、TSMCアリゾナ工場や、既に米国内で半導体製造プロジェクトにコミットしている他のメーカーに対し、関税やその他の輸入規制を免除すべきだ」と述べる。
市場調査会社International Business Strategies(IBS)のCEOであり、半導体業界のベテランであるHandel Jones氏は「TSMCはアリゾナ工場において、4nm世代のプロセスノードで台湾に匹敵する歩留まりを達成しているが、アリゾナのウエハーコストは台湾に比べて20〜25%高い」と述べる。
「顧客企業は、20〜25%も多く支払いたいとは思わないだろう」(Jones氏)
それでも、AIチップメーカーNVIDIAとAMDは2025年4月、輸入半導体チップに関税が課される可能性に備え、TSMCアリゾナ工場での生産を開始した。
IntelやSamsung Electronicsのような、「CHIPS and Science Act(CHIPS法)」に対応して米国での生産を拡大している他の半導体メーカーは、自社の業績悪化に伴い、工場プロジェクトを減速させている。
Micronは回答の中で「トランプ政権は、『よりレジリエントな国内製造を構築し、米国半導体製造業の雇用を増加させ、米国のAI優位性を確保する』という目標を掲げているが、関税のターゲットが明確に定まらなければ、その目標が意図せず弱体化する可能性がある。特に、半導体製造装置のように、米国では全く入手できなかったり需要に応えられるだけの数量を十分確保できなかったりする重要な装置のコストを上昇させる関税は、米国の半導体製造業界に甚大な損害をもたらす危険性がある」と述べる。
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