Si廃棄物とCO2からSiCパワー半導体材料を作製へ:レゾナックと東北大学が共同研究
レゾナックと東北大学大学院工学研究科、シリコン廃棄物(シリコンスラッジ)と二酸化炭素(CO2)を用いて、炭化ケイ素(SiC)パワー半導体材料を作製するための研究を共同で行う。
レゾナックと東北大学大学院工学研究科は2025年7月、シリコン廃棄物(シリコンスラッジ)と二酸化炭素(CO2)を用いて、炭化ケイ素(SiC)パワー半導体材料を作製するための研究を共同で行うと発表した。
両者はこれまで、シリコンウエハーの製造工程で生じるシリコンスラッジとCO2をマイクロ波で加熱すれば、高純度のSiC粉末を合成できるプロセスを開発。その上で、再資源化したSiC粉末をSiC単結晶材料の成長用原料として活用するための基礎検討を行ってきた。
今回、結晶の特性把握など基礎検討が完了したため、引き続きSiCパワー半導体材料の結晶成長に応用するための検討を本格的に始めることとした。開発する技術が実用化できれば、SiCパワー半導体は製品として省エネルギー化に貢献できるという。
しかも、製造工程におけるCO2の排出量削減や、シリコンスラッジとCO2の再資源化など、ライフサイクル全体で環境負荷を低減することが可能となる。研究グループでは、SiC粉末100トン当たりのCO2削減効果は110トンに相当すると試算している。
シリコンスラッジとCO2の再資源化イメージ[クリックで拡大] 出所:レゾナック、東北大学
CO2とシリコン廃棄物がSiCに「生まれ変わる」 合成技術開発へ
東北大学の研究チームと住友商事は、CO2とシリコン廃棄物を有効活用して再資源化する「カーボンリサイクル型SiC(炭化ケイ素)合成技術」の共同開発を始めた。研究期間は2028年3月までの約3年間で、「CO2削減」「産業廃棄物の有効利用」「低コスト化」の同時達成を目標とする。
「光で剥離」 次世代半導体パッケージの歩留まりと生産性向上へ
レゾナックとPulseForgeは、次世代半導体パッケージ向け光剥離プロセスに関し提携した。レゾナックの仮固定フィルムとPulseForgeの光照射システムを組み合わせることで、半導体パッケージの製造プロセスにおける、歩留まりと生産性のさらなる向上を実現していく。
宇宙向け半導体材料、レゾナックが国際宇宙ステーションで評価へ
レゾナックは、開発中の宇宙向け半導体封止材の評価実験を、2025年秋ごろにも国際宇宙ステーションで行う。宇宙線に起因する電子機器の誤動作を低減する封止材を用いた評価用半導体チップをISSへ輸送し、船内外に設置した材料暴露実験装置内の半導体チップを動作させた状態で、ソフトエラーの低減効果を評価する。
車載センサーの配置をもっと自由に ミリ波/カメラ対応のAgコーティング
レゾナックは「人とくるまのテクノロジー展 2025 YOKOHAMA」にて、開発中のミリ波対応銀(Ag)コーティングを紹介した。レアメタルのインジウム(In)を使用せずにセンサーの配置やデザインの柔軟性を高められる。
大型パッケージ基板の「反り」抑える銅張積層板、レゾナック
レゾナックは、次世代半導体パッケージ基板向けに熱膨張係数が小さい「銅張積層板」を開発した。温度サイクル試験により従来製品に比べ4倍の寿命を確認、100mm角を超えるサイズの半導体パッケージにも対応できるという。2026年から量産を始める。
レゾナック、Soitecと8インチSiC貼り合わせ基板を共同開発へ
レゾナックは2024年9月24日、半導体基板材料を製造するフランスのSoitecと、パワー半導体に使用される8インチSiC(炭化ケイ素)エピタキシャルウエハーの材料となるSiC貼り合わせ基板に関する共同開発契約を締結したと発表した。
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