ついにできた!Rapidus試作ライン稼働、2nm GAAトランジスタの動作を確認:顧客獲得にも弾み(2/2 ページ)
会見同日には、顧客向けイベントも開催した。小池氏は「海外からも多くの顧客が来ている。試作チップができたこのタイミングで顧客に対して特性を説明し、顧客の設計が本格的に進んでいく。大きなマイルストーンを越えたといえる」と述べた。
会見には、Rapidus 会長の東哲郎氏、北海道知事の鈴木直道氏、千歳市長の横田隆一氏も登壇した。
小池氏が試作品について鈴木氏と横田氏に説明する場面も[クリックで拡大]
東氏は「Rapidusは今、米国や欧州、アジアからも注目されている。単に『半導体製造技術で十数年遅れた日本が最先端の技術に挑戦しているから』ということではなく、世界でもまれに見る異例のスピードでここまで来ていることに驚いているのだろう。Rapidusの幹部や従業員が一丸となって、支援を受けながらここまで来た。強い結束力や情熱、技術力の表れだ」と語った。
鈴木氏は「Rapidusが世界でも類を見ないスピードで工場建設やパイロットライン稼働を進めてきたことに、地元知事として敬意と感謝を表したい。最初は道民もRapidusの取り組みや先端半導体の重要性に十分な理解があったわけではないが、今ではこの挑戦に多くの道民が賛同/協力している」とし、「2nm GAAトランジスタの動作を確認したことは、北海道の半導体産業にとって大きな歴史の1ページになると確信している」と述べた。
横田氏は地域経済の活性化について触れ、「Rapidusが千歳市に進出すると表明してから2年4カ月。着々と町の動きも進んでいる。半導体製造に関連する企業41社が市内に進出し、80社以上が今後の進出を検討している。10棟のホテルの建設計画が進み、オフィスビルやマンションの建設も相次いでいる。半導体産業に向けての動きを実感しているところだ。今後、新しい工業団地を整備する」と説明した。
Rapidusは今後、2027年に前工程の量産を開始し、2027年後半〜2028年前半に後工程の量産を開始する計画だ。小池氏は「2027年後半以降、少しずつ前工程と後工程の一貫体制をスタートできる」とした。
「Rapidusを支援したい」 VCに転身のPat Gelsinger氏、日米の協業に意欲
米国を拠点にディープテックへの投資を行うベンチャーキャピタルのPlayground Globalは、メディア向けの事業説明会を開催した。説明会にはPlayground ゼネラルパートナー兼共同創業者のPeter Barrett氏、Intelの前CEOで現在Playgroundのゼネラルパートナーを務めるPat Gelsinger氏らが登壇した。
TSMCが2nm量産へ前進 競合引き離す
TSMCは、2024年12月に開催された「IEDM 2024」で、2nm世代のプロセス技術「N2」に関する論文を発表した。同社はN2プロセスでの量産を2025年内にも開始する予定だ。
Rapidus、半導体設計支援のQuest Globalと提携で顧客獲得へ
Rapidusは2025年3月25日、シンガポールを拠点に半導体の設計支援などを行うQuest Globalと協力覚書(MOC)を締結した。Quest Globalの顧客はRapidusの2nm GAA(Gate All Around)製造プロセスを利用可能となる。Rapidusは協業を通じて顧客開拓も目指す。
Rapidusの顧客は十分にいるのか 米アナリストの見解
RapidusのCEO(最高経営責任者)である小池淳義氏は、米国EE Timesのインタビューに応じ、2025年4月に2nm世代半導体製造のパイロットラインを稼働予定であると語った。Rapidusを訪問したアナリストによると、TSMCとSamsung Electronicsの新たな競合となるRapidusには、この先まだ大きな障壁が立ちはだかっているという。
エレクトロニクス産業は「日本に追い風」 業界全体で底上げ目指す段階に
2024年に過去最高の市場規模を記録した世界半導体市場。ただし、半導体分野を取り巻く状況は世界経済と国際情勢の両面で不安定であり、先行きを見通しにくくなっている。そうした中、Omdia シニアコンサルティングディレクターの南川明氏は、日本の半導体/エレクトロニクス産業には追い風が吹いていると語る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.