キオクシアホールディングスはAIサーバ向けに高速データ伝送を可能にする新しいSSDを開発し、2026年下半期にサンプル出荷を開始する。1秒間に可能なリード、ライトの処理回数を示す値であるIOPS(Input Output Per Second)を従来のSSDと比べ1桁高める。
キオクシアホールディングス(以下、キオクシアHD)はAIサーバ向けに高速データ伝送を可能にする新しいSSDを開発し、2026年下半期にサンプル出荷を開始する。1秒間に可能なリード、ライトの処理回数を示す値であるIOPS(Input Output Per Second)を従来のSSDと比べ1桁高める。
同社は「AIシステムの性能向上には、GPUの計算能力の劇的な改善が必要だ。2026年下半期には、10M IOPS以上を達成するこのSSDをリリースし『世界最大のGPUメーカー』と協力し、GPUシステムのより優れたパフォーマンスを実現する」と述べている。
キオクシアHD2025年6月5日に開催した経営方針説明会の中で「Super High IOPS SSD(超高IOPS SSD)」とするこの新SSDの開発について説明した。
同社は、生成AIの学習や推論における最大の課題として、広帯域幅メモリ(HBM)/DRAMの容量不足とデータ読み込みエラーによる演算のやり直しを挙げ、これに対しSSDは大容量かつデータ読み込みエラーを起こさない点で利点があると説明。Super High IOPS SSDでは高速、低レイテンシを特徴とする同社のストレージクラスメモリ「XL-FLASH」をベースに、新開発のコントローラーと組み合わせることで「小規模データに対して桁違いIOPSを実現する」としている。具体的には従来のSSDのIOPSが2〜3Mなのに対し、新SSDでは10M以上を達成する計画だ。
キオクシアHDの副社長執行役員である太田裕雄氏は「GPUを実際に使う顧客は、今後さらにHBMの容量を増やしたいが、DRAMで増やすと非常にコストが高くなるという悩みがある。それを解決するのがSuper High IOPS SSDという位置付けだ」と説明。「HBMはランダムアクセスの小さいデータを処理するスピードが非常に速いというメリットがあり、その延長線で帯域幅も広げている。要は、IOPSをより速くしてほしいというのがGPUメーカーの要求と理解している。HBMで拡張したくても拡張できない部分に対し、Super High IOPS SSDが代替をする形になる」と説明していた。
また、既に第2世代品についても検討も進めているという。太田氏は「第1世代で実現するIOPSは、GPUメーカーの要求に100%は満足できないレベルだ。ただ通常のSSDでは対応できないIOPSを実現できるため、まず評価したいという声もいただいている。第2世代でさらにIOPSをブラッシュアップし、要求されているIOPSに近づける」とした。
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