半導体製造用液体ろ過フィルター市場、30年に5260億円規模へ:フォトレジスト向けで市場拡大
半導体製造工程で用いられる「液体ろ過フィルター」の世界市場は、2025年見込みの3659億円に対し、2030年は5260億円規模となる見通し。フォトレジスト向けを中心に今後も市場は拡大する。
富士経済は2025年8月、半導体製造工程で用いられる「液体ろ過フィルター」の世界市場を調査し、2030年までの予測を発表した。これによると、2025年見込みの3659億円に対し、2030年は5260億円規模になると予測した。フォトレジスト向けを中心に今後も市場は拡大する見通し。
今回の調査は、半導体デバイス工場や半導体材料工場、半導体材料の原料を製造する工場で、不純物の分離や除去を行う工程において使われる液体ろ過フィルターを対象とした。調査期間は2025年5〜6月。
2024年は、PCなどの最終製品の需要が伸び悩んだことや、過去に品不足を経験した半導体製造装置メーカーが過剰に在庫を抱え、新規需要が停滞した。この結果、2024年の市場は前年比微増の3451億円にとどまった。
2025年は過剰在庫も解消され、AIやデータセンターに向けた先端半導体デバイスの需要が拡大する見通しから、前年比6.0%増の3659億円を見込む。2026年以降は、先端半導体デバイスの製造に用いられるEUVレジスト向けの需要が急伸するとみられ、2030年には5260億円規模になると予測した。
半導体製造工程で用いられる液体ろ過フィルターの世界市場[クリックで拡大] 出所:富士経済
エリア別の液体ろ過フィルター市場をみると、中国が約25%を占める。中国は半導体デバイスの国産化に注力しており、今後も需要拡大が続くと予測した。市場規模が大きい台湾や韓国でも需要は拡大する。また、国策によって半導体関連工場への投資が進む北米も長期的には期待できるとみている。
用途別の液体ろ過フィルター市場も調べた。フォトレジスト工場や半導体デバイス工場で用いられる「フォトレジスト向け」市場は2024年に1425億円となり、2025年は前年比6.9%増の1523億円を見込む。今後は、EUVレジスト向けで大きな伸びが期待できるという。
薬液製造工場や半導体デバイス工場で用いられる「洗浄液・乾燥液向け」市場は2024年の603億円に対し、2025年見込みは同6.3%増の641億円とした。半導体デバイス工場や半導体材料工場などで用いられる「純水・超純水向け」市場は、2024年の329億円に対し、2025年は同4.9%増の345億円を見込む。
半導体製造工程で用いられる液体ろ過フィルターの用途別世界市場[クリックで拡大] 出所:富士経済
ペロブスカイト太陽電池、2040年に約4兆円規模へ
富士経済によれば、ペロブスカイト太陽電池の世界市場は、2025年見込みの1476億円に対し、2040年予測は3兆9480億円に達する見込みである。このうち日本市場は、2025年度見込みの8000万円に対し、2040年度は342億円規模になると予測した。
全固体電池向けの固体電解質市場、2030年以降に急加速か
富士経済は、全固体電池や半固体電池・疑似固体電池に用いられる「固体電解質」の世界市場を調査し、2045年までの予測を発表した。これによると、2045年の世界市場は硫化物系固体電解質が7553億円、酸化物系固体電解質が4022億円の規模に達すると予測した。
SiCウエハー市場、単価下落で伸び率鈍化
富士経済は、パワー半導体向けウエハーの世界市場について、2035年までの予測を発表した。特に注目しているがSiCウエハー市場で、2024年の1436億円に対し、2035年は6195億円と約4.3倍に拡大すると予測した。
パワー半導体市場、25年後半に在庫が正常化 26年から成長拡大
富士経済はパワー半導体の世界市場を調査、2035年には7兆7710億円規模に達すると発表した。2024年に比べ2.3倍の市場規模となる。2024年は電気自動車(EV)の需要鈍化などで在庫を抱えたが、長期的には電動車の普及拡大などにより、パワー半導体市場は大きく伸びると予測した。
次世代電池市場が2045年に10兆2472億円規模へ
富士経済は、全固体電池やナトリウムイオン二次電池といった「次世代電池」について、2045年までの世界市場を調査した。これによると、全固体電池を中心に次世代電池の世界市場規模は、2024年見込みの1218億円に対し、2045年は10兆2472億円規模に達すると予測した。
半導体材料市場、2029年に583億ドル規模へ
富士経済は、半導体材料について2029年までの世界市場を予測した。これによると、2024年見込みの470億米ドルに対し、2029年には583億米ドル規模に達する。新たなAI(人工知能)搭載機器の登場や、データセンター向けサーバの需要増加などにより、半導体材料市場は拡大が続く。
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