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あと5年で中国が半導体生産能力トップに 米国は先端ノード強化過熱する競争が変える勢力図(2/3 ページ)

» 2025年09月02日 12時30分 公開
[Alan PattersonEE Times]

「台湾に迫る勢い」小規模ファウンドリーも補助金で急成長の中国

 米国政府は、Huaweiなどの中国メーカーをブラックリストに掲載し、さらに中国が最先端のEDAソフトウェアや、極端紫外線(EUV)リソグラフィ装置の単独サプライヤーであるオランダASMLの製品を使用するのを阻止すべく、輸出規制も実施している。これは全て、中国の最先端チップ製造における進歩を遅らせることを目的としている。

 Yole Groupは「それでも中国は追い付きつつあり、プロセス技術では米国に対してわずか1〜2世代の後れを取ってているだけという状況だ」と述べる。

 Yole Groupによると、中国のウエハー工場設備投資は現在、世界全体の約30%を占めていて、2030年までには中国が世界のファウンドリーリーダーになる見込みだという。

 現在、中国のファウンドリーで世界トップ5にランクインしているのはSMICのみで、市場シェアは約5%だ。Hua Hong SemiconductorやYMTCのような他の小規模な中国ファウンドリーは、新たな政府補助金を獲得して急激に成長している。

世界ファウンドリー市場の企業別シェア 世界ファウンドリー市場の企業別シェア[クリックで拡大] 出所:Counterpoint Technology Market Research

 Cambou氏は「中国のウエハー生産能力は、世界全体の約21%に達していて、韓国とは同等レベルで、台湾に迫る勢いを見せている。中国は2030年までに生産能力の面で世界をリードするようになるだろう」と述べる。

 技術調査会社であるTechInsightsのバイスチェアマンを務めるDan Hutcheson氏は最近、米国EE Timesの取材に応じ「中国は2018年以降、生産能力を増強してきたことによって、重要な成熟ノードチップを市場に大量供給できるようになった。中国の生産能力は、こうしたセグメントの需要全体の半分以上に対応することが可能だ」と述べている。

 一方、Cambou氏は「地政学的リスクや、現在進行中の貿易戦争の他、アジアの半導体サプライヤーへの過剰な依存を低減するための業界の取り組みなどによって、不確実性が生み出されているが、それにより半導体業界は勢いづいている」と述べる。

 「地域化の加速によって全体的な資本支出が増加し、また、関税の不確実性によって企業がマルチソーシング戦略を採用し、ローカライゼーションの強化を推進している。半導体コンテンツや需要の拡大を考慮すると、最も直接的な影響は、平均価格が全体的に上昇する可能性だ」(Cambou氏)

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