先進メモリ技術を量産フェーズに移行する上での障壁に関する質問に対して、両者は率直に答えた。Desoli氏は、メモリをプロトタイプから量産へ移行するには5〜10年を要し、繰り返しの再設計、プロセスの改良、そして広範な信頼性試験が必要だと説明した。PCMやReRAMのような既に確立された技術でさえ、依然として課題に直面しているのだ。AIによって強化される可能性のある、より優れたモデリングツールは、コストのかかる試作サイクルの回数を減らすのに役立つかもしれない。
Andrieu氏は「統合の成功はデバイスや回路からアルゴリズムやアプリケーションに至るまでのスタック全体にわたる共同設計にも依存する」と付け加えた。CEA-Letiは、C2N、ETHチューリッヒ、エクス=マルセイユ大学などの研究機関や産業パートナーとの連携を通じてこれを推進している。
持続可能性も重要な焦点だ。生成AIモデルの小型化とエッジへの展開が進む中、効率は最重要課題となる。CEA-Letiは太陽光発電によるニューラルネットワークや、4ビット量子化を用いた超低消費電力のバイナリ化ネットワークを実証済みだ。STも同様のアプローチを採用し、4ビット、2ビット、さらには1ビット演算まで動的に精度をスケーリングする演算ブロックを開発している。この種の深い量子化は、エッジAIハードウェアのエネルギー効率を最大化するために不可欠だ。
CEA-LetiとSTの提携は、欧州独自のAIハードウェアエコシステム構築という広範な目標を体現している。Andrieu氏によれば、欧州はファブレス設計企業、先進プロセス技術、国内メモリ供給業者などの分野で依然として課題を抱えている。しかし、自動車分野、アナログ設計、センサーインタフェースにおける強みが確固たる基盤を提供している。パイロットラインと緊密な産業界連携を通じ、CEA-LetiとSTは革新技術を迅速に研究室から市場へ移行させることを目指している。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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