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「過去10年間で信頼を失ってきた」Intelから離れたAlteraが目指す道Altera CEO Raghib Hussain氏(2/2 ページ)

» 2025年09月25日 12時30分 公開
[Sally Ward-FoxtonEE Times Japan]
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公開企業の制約からの解放が大きなメリットに

 独立したAlteraは、競争力を一段と高められるのだろうか。同社にとって最大の競争相手は、2022年にAMDに買収されたXilinxだ。Hussain氏は「競争上の優位性は、集中力によって生み出される。われわれは、独立して完全にFPGAに集中できるようになることで多くのチャンスを得られ、リソースや投資、エンジニアリングチームを、自社の事業にとって重要なものや顧客の問題を解決する上で重要なものに投じることが可能になる」と述べている。

 「独立したAlteraは、自社に利益をもたらすと考えられる市場に注力でき、多過ぎる市場に急いで対応する必要がなくなる」(Hussain氏)

 同氏は「FPGAは長期的投資であるため、公開企業の制約を受けることなく、他の市場への進出に完全に集中できることは大きなメリットだ。もし今すぐ新しい市場に参入するとなれば、この先5〜7年間は大きな売上高を見込めないだろう。それを公開企業の投資家たちに説明するのは、大きな痛みを伴う」と述べる。

 「Alteraは非公開企業になることで、AMDをはじめとする他の全ての公開企業に対し、非常に大きな強みを持つことができる。AMDのCEOであるLisa Su氏がXilinxにどれだけ投資しようと、AMDは既に70%の市場シェアを確保しているため、売上高を倍増させることはできない。市場シェアを10億米ドルほど増やせる可能性があるが、AMDのような企業にとってはわずかな額にすぎない。AlteraもIntel傘下では同じ問題を抱えていた」(Hussain氏)

 また同氏は「Xilinxは、その親会社が急激に成長を遂げている部門に、最高クラスのエンジニアや営業担当者たちを取られてしまう危険性がある。これは、AlteraがIntelの傘下で直面していた問題だ。独立したAlteraは、引き続きFPGAに注力していきたいと考えている競合他社の社員たちにとって、魅力的に見えるだろう」と述べる。

「職場に戻り、共に働く必要がある」企業文化の変化

 Intelの問題については、これまでにも多く書かれているが、Alteraは最近、82人の人員を削減しなければならなかった。士気は低下したのだろうか。またHussain氏は、人材を維持するために何を行っているのだろうか。

 Hussain氏は「私の見解では、この4カ月間で会社の士気は向上している。Silver Lakeとの取引が完了する前に CEO として入社することにこだわったおかげで、社内の雰囲気を形成できた」と語った。

 「私がここで推進しようとしているカルチャーは、スタートアップのスタイルに近いものだ。2日目に初めて全社員を前にしたとき、私は率直に、何も美化せず、『私たちがやろうとしていることはこれだ』、と伝えただけだ」(同氏)

 Hussain氏はまた、「Intelのカルチャーはサイロ化が進んでいる。Intelの社員は個人の業績に対して報酬が支払われる一方で、チームの成功をより重視すべきだ」とも指摘した。

 「社員は自身のキャリア成長や個人業績を過度に考えるべきではない。当社が構築したインセンティブプランは、会社の成功と成長に連動した株式共有制度で、それ以外の要素とは無関係だ。スタートアップ同様、互いに責任を共有し、共に成長する仕組みだ」(同氏)

 Hussain氏は、Alteraが3〜4年以内にIPO(新規株式公開)を目指す可能性を示唆しつつ、同社の歩みをオリンピックのマラソン出場に必要な努力と献身に例えた。

 「私は、職場に戻り、共に働く必要があると明確に伝えた。最高の生産性は全員がそろった時に生まれるからだ。Intelのカルチャーでは、社員の大半は転居し、遠隔地に移り、各地に散らばっていた。そこで私は『今後はこうしていく。そして、誰もがマラソンを走ったり、オリンピックの金メダルを目指してトレーニングしたりする意志があるわけではないので、自ら選択して辞めることもできる』、と伝えた」(Hussain氏)

「私は1日16時間を、文化とマインドセットの推進に費やしている。それは、同じ考えを持つリーダーや人材を増やすことにつながっていて、相乗効果をもたらしている」(同氏)

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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