Efinixは4000〜12万LEの汎用FPGA「Trion」と5万〜32万5000LEの大量生産アプリケーション向け「Topaz」、そして高性能コンピューティング能力を備えた「Titanium」の3つのFPGA製品ライン有し、産業分野を中心に幅広く展開。例えば、電力要件が厳しい、AIを活用したマシンビジョン産業用システムでは圧倒的なシェアを獲得しているという。プロセッサはRISC-Vを採用、統合開発ツールである「Efinity IDE」も提供している。
今回製品拡充を発表したのはTitaniumで、最大集積度は従来の100万から2倍の200万LEに、ファミリー製品数も2倍の20種類になる計画だ。なおTitaniumではTSMCの16nm/12nmプロセスを採用する。
具体的な技術的アップグレードとしては、高速トランシーバー(SerDes)を16Gbpsから25.8Gbpsに、SoC(System on Chip)ブロックを従来の32bitか64bitのRISC-Vプロセッサにそれぞれ強化した。また、標準高速I/OであるHSIOピンでのMIPIの高速化(最大2.5Gbpsまで)にも対応。「もともと1.5Gbpsを標準ピンで、2.5Gbpsを専用ピンでサポートする形だったが、今回標準ピンを2.5Gbpsまで引き上げることで、よりスリムかつ高速対応が可能となった」としている。このほか、最新のセキュリティに対応するための機能強化や、AI活用に向けてDSPブロックの強化などもしているという。
またEfinixは既存TitaniumファミリーでHyperRAM(256Mb)およびNORフラッシュ(16Mb)を5.5mm角の1パッケージにした製品や、「Ti180」にLPDDR4(2Gb)を搭載した15mm角のパッケージ品も提供していて、小型のカメラアプリケーション向けなどで「非常に好評」という。同社は今回、新たに拡充するトランシーバーおよびプロセッサ搭載の「Ti135」や「Ti375」とLPDDR4(2Gb)およびNORフラッシュ(256Mb)を載せたパッケージソリューション(それぞれ16mm角と18mm角)も用意。「競合でもFPGA+フラッシュはあるが、さらにDDRを搭載したものはまずない。革新的なことにチャレンジした製品だ」としている。
中西氏は「Titaniumによって、コンピューティングや通信、医療、映像あるいはテスト計測といった当社にとって新たな市場に参入できるようになった。特に通信やコンピューティングなどは比較的大きなFPGAが使われる領域だ。今回の拡充によって、そうした市場をはじめとした新たな採用の機会が生まれると考えている」と語った。
エッジAIという観点では「近年、FPGAでAIをやってみたいという顧客は増えている」と言及。そのうえで「われわれのカバーする領域のAIではGPUはあまり使われておらず、高性能かつ低電力という特長で勝機はある。この領域ではASICが競合という形になるだろうが、ASICを開発して完成するまでの間に、FPGAを使った製品は最大10種類以上できるだろう。そこに大きな違いがある」とも強調していた。
CEOのSammy Cheung氏も「Titaniumは量産実績があり、様々な市場で広く採用されている。例えばAIを活用したマシンビジョン産業用システムでは、圧倒的なシェアを誇っている。FPGAはビデオやセンサーデータを分析することでこれらのシステムを強化し、製造フローを合理化する。Titaniumの拡張計画は、これらの市場やその他のAI主導の市場における顧客をさらに支援していく」とコメントしている。
また、AI対応では、TinyMLアプリケーションの導入を容易にする「Efinix TinyMLプラットフォーム」に加え、より強力なAI運用に向けたEfinix eCNN」プラットフォームなども提供していき、FPGAへのAI実装をサポートしていくとしている。
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