次は主要なクラウドサービス企業がハイパースケールデータセンター(DRAMの主要な応用分野)に投資した金額(有形固定資産)の四半期推移である。対象期間は2021年第1四半期から2025年第2四半期までの4年と半年。サービス企業(あるいはサービス名)は、「Alphabet(Google)」「Meta」「Amazon(AWS)」「Azure(Microsoft)」「Alibaba」「Apple」である。
これら6企業(6サービス)が固定資産(有形固定資産)に費やした金額の総計は、2021年第1四半期(1Q21)から2023年第3四半期(3Q23)までは変動がありながらも平均的には同じくらい(400億米ドル前後)だった。
それが2023年第4四半期(4Q23)以降は急激に増加しつつある。2024年第4四半期(4Q24)から2025年第1四半期(1Q25)には総額が約800億米ドルに達した。2023年第3四半期(3Q23)の約400億米ドルから、わずか1年半で2倍に拡大したことになる。直近の2025年第2四半期(2Q25)は投資金額がさらに上昇し、1000億米ドルに近づいた。
最後はDRAMの記憶容量当たり単価に関するスライドである。大原氏が2025年6月18日付の記事(「DRAM業界をかき乱す中国勢、DDR4の供給の行方は?」)で詳しく報じたように、大手DRAM3社がDDR4系DRAMの生産を2025年末で終了させることと、中国のDRAMベンダーであるCXMTなどによるDDR4系DRAMの極端な低価格攻勢(2024年)、さらにはCXMTがDDR4系DRAMの生産休止を決めたことにより、DDR系DRAM市場は混乱状態にあるもようだ。
そしてHandy氏がFMSの講演で示したスライドが、DDR4系DRAMとDDR5系DRAMの記憶容量(ギガバイト=8Gbit)当たり単価(スポット市場の最低価格)の推移である。
2024年3月から2025年3月までの13カ月間は、DDR4系の単価は一貫して漸減してきた。2024年3月時点で約1.50米ドルだったのが、2025年3月時点では約1.00米ドルとおよそ3分の2に値下がりした。この期間、DDR5系の単価は2ドル前後でおおむね一定で推移した。
ところが2025年4月になると、DDR4系の単価が急激に上がり始める。同年6月には2米ドルを超え、DDR5系と単価がほぼ変わらなくなる。ここで重要なのは、DDR5系でも2025年3月以降は単価が上昇傾向にあることだ。DDR系全体で供給不足となっていることが分かる。
(次回に続く)
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