SiCについては、「WBG材料として既に成熟段階にあり、現在拡張を進めているところだ」と説明。アプリケーションにおける性能および効率の向上だけでなく、幅広い普及を可能にするコストポジションの確立にも注力していて、フィラッハの200mmウエハープロセスで製造した最初の製品を、2025年第1四半期(1〜3月)から顧客に供給開始した。フィラッハ工場の他、マレーシア・クリム拠点でも200mm SiCウエハー対応工場を新設し、200mmウエハー移行を進めていて、「フルスケールで稼働すれば、世界で最も競争力が高く、最も生産性の高いSiCになる」と強調していた。なお、フィラッハやクリムの生産能力や稼働率については明かさなかった。
InfineonのSiCは、独自のトレンチ技術によってオン抵抗を限りなく抑えるとともに、高いスイッチング性能を備えるのが大きな特長だ。さらにパッケージ技術「Q-DPAK」で低コストかつ高い電力密度とシステム効率も実現するとしている。
Kuncic氏は「現在では750V耐圧のSiC MOSFETでオン抵抗を4mΩを可能にした。これは驚異的なことだ。1桁ミリオームのオン抵抗は、これまで低電圧MOSFETの領域だった。6、7年前、例えば80V品で行っていたことが、現在は750V品で実現できる。これは当社のSiC技術およびパッケージング技術の進歩、そしてフィラッハが得意とする、非常に薄いウエハーでの製造能力が優位性を生み出した結果だ」と強調していた。
Infineonは今回、集まったメディアおよびアナリストに2021年に操業を開始した300mm薄型シリコンウエハーのクリーンルームをメディアに公開した。内部では自動搬送装置が各装置間を行き交い(自動搬送装置のラインは全体で長さ6km)ウエハーボックスを運搬、ウエハー毎に1000もの工程がある製品を、1800種類並行して同時に製造する様子の一部が確認できた。
なおInfineonのGaNパワー半導体に関してGaN事業部門責任者であるJohannes Schoiswohl氏が語った最新動向については、後日別稿で紹介する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
記事ランキング