そこで東芝は、SBMを活用した「多体物体追跡アルゴリズム」を開発し、同社独自の回路設計で組み込み向けFPGAに実装。そのFPGAをミライズテクノロジーズが自律移動ロボットに搭載し、リアルタイムでの自律移動が可能であることを実証した。この実証は、複数の動的障害物を回避しながら経路選択を行うというものだ。
多体物体追跡アルゴリズムは、複数の物体(人やクルマ、障害物)が同時に動き、頻繁に交差したり互いに隠されたりする環境でも、個々の物体を見失わずに追跡し続けられるアルゴリズムだ。
従来の手法では、物体同士が重なったり一時的に見えなくなったりすると、追跡が途切れたり誤認識が発生したりするという課題があった。これは、「検出済みの物体」と「今見えている物体」を1対1でマッチングさせるためだ。対して東芝の手法では、組み合わせ最適化問題を用いて、1対多のマッチングを行う。これによって交差や遮蔽が生じても再追跡でき、物体の移動予測の精度が向上する。
検出精度/追跡精度の評価指標であるHOTA(Higher Order Tracking Accuracy)を用いた評価では、東芝の手法は従来手法に比べて、一般的な多体物体追跡のベンチマーク問題では4%、長期遮蔽の評価に特化したベンチマーク問題では23%、精度が向上したという。
今後、東芝とミライズテクノロジーズは、自動運転車やロボットの自律制御の分野でSBMの応用範囲を広げ、複数台の協調制御やより複雑な環境での経路最適化、リアルタイムなタスク割り当てなどへの対応を目指す。将来的には工場や倉庫の搬送ロボット、建設/農業分野の自律作業機、スマートシティーやインフラ監視、エネルギー管理システムなどへの適用を視野に入れる。
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