――その後、積層型センサーが登場します。どのような経緯があったのでしょうか。
大池氏 積層型センサーには大きく2つの動機があった。1つは、CMOSイメージセンサーになり、フォトダイオードとA-D変換を行う回路部分が1つのチップに同居するようになったことだ。これらを1枚のウエハー、1つのプロセス工程で両方作り込もうとすると、どうしてもどちらかへの最適化に偏ってしまう。そこで、フォトダイオードに最適な半導体と、回路に最適な半導体を別々のウエハーに形成し、それらを貼り合わせるというコンセプトが生まれた。
この背景には、当時の半導体投資戦略もある。ゲーム用LSIの開発が一段落し、2008年には、長崎工場の一部の製造設備を東芝へ譲渡し、合弁会社のもとで生産を行う形となった。 そういった経緯もある中で、投資をどこに集中するかが問われた。その結果、自分たちの強みであるフォトダイオードに注力し、一方で加速度的に進化する先端ロジックは他に委ね、貼り合わせることで進化を継続していく道を選んだ。
もう1つの動機は、拡大するスマートフォン市場のニーズへの対応だ。同市場ではカメラ性能への要求が急速に高まる一方で、小型のフォームファクターが求められた。積層構造は、フットプリントを小型化しつつ高性能化を実現できるため、そのニーズに非常によく合致していた。結果として、スマートフォンのニーズに大きく応えられる技術となり、これまでの市場ニーズと技術進化が非常にうまくかみ合った。
――これからの今後の進化を追求する上で、どのような技術が必要になると見ていますか。今後の技術進化の方向性は。
大池氏 これから先の技術進化は、必ずしも一本道ではないが、大きく3つある。
1つは、高画質を追求し続けることだ。現在でも、特にスマートフォンのようにフォームファクターに制約があるデバイスでは、あらゆる条件下で理想的な画像を自由に撮影できるわけではない。暗所での描写や白飛びの抑制、さらに動体を美しく撮るといった点で、さらなる進化を継続して追求することは、大きな方向性だ。これはあらゆる進化のベースラインであり、今後も着実に高めていくべき領域だ。
2つ目は、カラーイメージ以外の情報をどう捉えるかだ。例えば、車載にも搭載される測距センサー、可視光以外の波長を捉えるセンサー、物体の動きの情報のみを捉えるセンサーなどだ。こうした付加的な情報を捉える能力を進化させていく。
そして3つ目は、これら「ビューイング」と「センシング」の情報をどう組み合わせていくかの追求だ。カラーイメージセンサーと組み合わせることで生まれる、新たな価値を探っていく。
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