フローディアとNEC、九州工業大学は、極めて消費電力が小さいAIハードウェアを実現できる「高精度不揮発性アナログメモリ技術」を共同開発した。ロボットやドローン、自動車などのエッジAI応用機器において、高性能化や省エネ化、小型化が可能となる。
フローディアとNEC、九州工業大学は2026年5月、極めて消費電力が小さいAIハードウェアを実現できる「高精度不揮発性アナログメモリ技術」を共同開発したと発表した。ロボットやドローン、自動車などのエッジAI応用機器において、高性能化や省エネ化、小型化が可能となる。
不揮発性メモリを用いたアナログコンピューティングインメモリ(nvACiM)技術は、複数のメモリ素子に任意のパラメーターをあらかじめ設定しておき、アナログデータを並列に入力して積和演算を行うことで、極めて少ない電力でAI処理を行うことができる。
ところが、これまで検討されてきたnvACiM向けメモリは、メモリ素子間の書き込み速度が大きくばらつき、個々のメモリ素子に設定できるパラメーターのレベル数(ビット精度)も限られていた。その上、設定したパラメーターの値が時間とともに変化するため、演算精度が低下するといった課題があった。
フローディアは今回、nvACiMとしてSONOS構造のフラッシュメモリ技術を用いた。SONOS型フラッシュメモリは、原理的に高い精度でパラメーター値を設定できるという。その上、「メモリ素子間における書き込み速度のばらつきが小さく、パラメーター値のばらつきを抑制しやすい」「蓄積した電子の保持特性が高く、設定したパラメーター値を長時間維持しやすい」といった特長がある。半面、設定できるパラメーター精度は8値(3ビット精度)にとどまっていた。
そこで今回、書き込みを複数ステップに分け、ステップごとにパラメーター値に応じた電圧で書き込みと検証を繰り返し、パラメーターのレベル数を倍々に増やしていく方法を開発した。シミュレーションにより、4〜1024nAの範囲で256レベル(8ビット精度)のパラメーター電流が設定できることを確認した。
さらに、電荷蓄積部を形成する工程において、特殊な熱処理を追加することでバンド構造を工夫した。この結果、書き込み電圧の上昇を抑えながら、電子の漏えいを抑制することに成功した。また、パラメーター書き分け処理中に、浅いトラップに蓄積した電子を除去する技術を導入することで、パラメーターの長時間保存を可能にした。
研究グループは、開発した技術を用いてnvACiMテストチップを試作し、その効果を検証した。実験では2〜64nA間に2nA刻みで32値(5ビット精度)のパラメーターを設定。各パラメーター値の標準偏差は目標に対し0.78%となった。これらは、従来の浮遊ゲート型フラッシュメモリの値を上回るもので、消費電力を抑えながら高精度な積和演算が可能なことを証明した。
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