パナソニックは「JISSO PROTEC 2026」で、独自のフィルター技術と画像処理技術を活用したハイパースペクトルカメラを展示した。従来比約10倍の感度を実現し、通常照明下でも短時間で撮影できる。AIを活用した検査ソフトウェアも2026年度中に提供開始する予定で、外観検査や膜厚測定などの用途を見込む。
パナソニックは「JISSO PROTEC 2026」(2026年6月10〜12日、東京ビッグサイト)に出展し、独自技術を用いて従来の実用上の課題を解消したハイパースペクトルカメラを紹介した。
通常のカメラが赤/緑/青(RGB)の3色の情報を取得するのに対し、ハイパースペクトルカメラは10〜100ほどの細かな波長帯ごとの情報を取得できる。これによって対象物の状態や材質など多くの情報を得られるため、外観検査や品質検査などのさまざまな用途での活用が期待されている。
しかし、一般的なハイパースペクトルカメラは実用上の課題がある。光を細かな波長ごとに分解して受けるため、各波長帯に届く光量が少なくなり、感度が下がって、撮影した画像が極端に暗くなってしまうのだ。
従来は、強い照明を当てるか、星空撮影のように露光時間を長くすることで明るさを確保していた。しかし、強い照明を使うと対象物への熱の影響が懸念される。また、露光時間を長くすると高速で流れる生産ラインへの導入は難しくなる。
これに対してパナソニックは、特殊フィルター(下図の「ランダムフィルタ」)と独自の画像データ処理アルゴリズムを開発することでこうした課題の解決を図った。特殊フィルターは画素ごとに複数の波長をランダムな強弱で通すもので、スペクトル情報を「間引いた」状態で撮影する。その後、画像データ処理アルゴリズムによって元のスペクトル情報を復元する。これによって、通常の照明かつ短時間でも明るい画像を撮影できる。感度は従来のハイパースペクトルカメラの約10倍だという。
パナソニックのハイパースペクトルカメラは、4K解像度での撮影にも対応。波長範囲は420〜700nm/600〜900nmだ。1000〜1600nmに対応した製品も現在開発中だ。
用途としては、民生機器の筐体や自動車の塗装の外観検査、半導体製造工程における膜厚測定などを想定する。外観検査は現在、熟練作業者の経験や目視に依存する部分も大きく、ハイパースペクトルカメラによって精度の向上や品質判定の均一化が期待できる。また、医療現場における病変の早期発見や青果の鮮度の検査などにも応用できる。
ブースでは、実際のカメラを用いた塗装色の検査デモを紹介した。デモでは、現在開発中のAIを活用した検査ソフトウェア(2026年度中に提供開始予定)も使用した。良品と不良品のサンプル画像をあらかじめ登録することで、その特徴を学習し、検査対象を「OK」「NG」などと判定できる。
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