ナノスタック技術では、Bu氏が「ずらし配置アーキテクチャ」と表現する方式で、ナノシートトランジスタの層を構築している。
Bu氏は「これは、単純なモノリシックなリソグラフィとエッチングプロセスによるものではない。われわれはデバイスを積層している。私はこれを『積層』と呼んでいるが、垂直方向には『ずらし配置』も行っている。各トランジスタの表面と裏面は、信号用と電源用にそれぞれ独立して接合できる」と説明した。
IBMは、この積層のために独自の薄膜誘電体接合技術を開発した。
Bu氏は「この技術によってチャネル材料、つまり上部のFETと下部のFETを、それぞれ独立して開発/最適化できる。これによって、同アーキテクチャにおけるFETに導入できる革新が数多く生まれる。だからこそ、これは単発の革新にとどまらないのだ」と強調した。
この新しいトランジスタプラットフォームによって、7オングストローム(0.7nm)から1オングストローム(0.1nm)まで、およそ10年間にわたる世代展開が可能になるという。
Bu氏は「7オングストローム付近で、この技術への移行が始まると考えている。10年以内には、この技術が半導体業界の新たな主流となるだろう」と語った。
IBMが開発した手法は、単一のチップ上に半導体デバイスの層を垂直に積み重ねる「逐次積層(sequential integration)」であり、超高密度の3D ICを実現するものだ。
Bu氏は「薄い誘電体を介して複数のウエハーボンディングを行う必要がる。当社の評価では、完全な積層が可能だと示唆されている。だからこそ、われわれはこのプラットフォームの柔軟性だけでなく、その拡張性にも大きな期待を寄せている」と語った。
IBMは2026年初めにLam Researchと共同で1nm以降の半導体製造に向けた協業を発表。新材料、製造プロセス、高開口数(NA) 極端紫外線(EUV)露光技術の開発に焦点を当てた5年間の契約を締結している。
Bu氏によれば、半導体業界は3nm世代付近から「まるで魔法のような領域」に入っているという。トランジスタが原子レベルまで縮小するにつれ、破壊的な量子効果が表れ始める。電子の挙動が不安定になり始めるのだ。
Bu氏は「私はこれを『魔法のようだ』と表現している。物理法則に反している訳ではないが、魔法と物理のはざまで機能しているようだからだ。われわれがここで構築している構造について考えてみてほしい。原子1つ1つを積み重ねて層を形成している。それが現在のわれわれの状況だ。時には、工学と魔法のつえとの区別がつかないと感じることもある。量子効果の最初の兆候はしきい値電圧の変動となるだろうが、これは現在の最新技術ではまだ制御可能な範囲内にある」と語った。
【翻訳、編集:EE Times Japan編集部】
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